いつもご覧いただき、ありがとうございます。
この記事を公開する2月18日前後は、
どこも2回目の卒業判定会議が終わる頃であり、
卒業式の準備に忙しい時期です。
ま、3年生はこれまで1,2年と進級してきたので、
最後だけ引っかかって卒業できない、なんてことはほぼありません。
まして進学や就職が決まっていたら、
なおのこと卒業できない、という事態は絶対に避けなければなりません。
現実1回目に引っかかっても、
その後補講や追認考査を経て、
2回目の卒判もあるのが一般的です。
(それでもダメな場合も稀にありますが…)
しかし3月の
1,2年生対象「進級判定会議」では、
進級が認められないことがあります。
会議も一度きりですから、
ここで原級留置が決まると、
それは決定事項になってしまうのです。
そして1,2年生で進級できないと決まれば、その後がバタバタです。
この時期は「自分の進級が不安だ」
という高校生がたくさんいるはずなので、
今日は進級判定会議をテーマに
”差し障りのない範囲”での情報をお伝えしようと思います。
成績や入試関係は、
守秘義務に抵触する内容も多いので、
ここでは”差し障りのない程度”しかお話できないのです。
ご不明な点は、行間から読み取っていただくか、
在籍校の先生にお問い合わせください。
なお本記事は、2023年2月14日公開のリライト版になります。
進級判定会議の様子
進級規定
進級を理解するには、まず在籍校の進級規定を知ることです。
多くの全日制高校は、
「全履修全修得」が卒業の要件、
さらに、
「全履修かつ未修得科目が○科目以内」
または
「全履修かつ未修得科目が○単位以内」
が、進級の条件となっています。
卒業は文科省の規定では74単位以上の修得と決められていますが、
別に各校独自の内規で進級や卒業規定が定められているのが現状です。
内規で全履修全修得が卒業の要件となっていれば、こちらが優先されますし、
これは裁判をしても負けます。
履修と修得のこと等、詳しくは↑の過去記事に書いています。
進級や卒業の規定は、校則などとともに公開されているはずです。
まだ「在籍校の進級規定を知らない人」は、大至急確認しておきましょう。
3学期は学年トータルの成績が出る
2,3年生なら常識ですが、
初の学年末を迎える1年生は意外に知らないこと。
それは1,2学期の成績と、
3学期末に出る成績は、
違うということです。
1,2学期の成績は、
その学期毎の評価ですが、
3学期末に出るのは、
3学期の成績ではなく、
学年トータルの成績なんですね。
だから1,2学期の成績が特に悪くなければ、
学年末にいきなり欠点(赤点)が付くことはありません。
心配なのは、
1,2学期に欠点があったり、
無くてもギリギリで乗り切ってきた人です。
進級判定会議の流れ
以上の状況から、
会議では進級規定に抵触しないほとんどの生徒を一括審議して、
進級を認めます。
その後、進級規定に抵触する生徒を個別に「審議」します。
(審議内容は守秘義務のためここでは非公開)
担任や学年団、教科担当者、時には保健室やカウンセラー等の所見を聞き、
最終的に進級を認めるのは学校長です。
もちろんこれは会議ですから「原案(会議に提出する最初の案)」はあります。
「原案」は、進級規定に抵触しているわけですから
当然「原級留置(=留年)」です。
大まかな中身を支障のない範囲で書くと、
原案は原級留置でも、
進級させた方がいい”特別な事情”があるか?
を審議するわけです。
もちろん無制限に特別な事情を認めることはできませんから、
該当生徒を進級させて
その効果が見込まれるか?
といった状況を審議するわけです。
わかりやすい例を挙げると
「本人に責任のない交通事故で数か月入院した」
なんていうケースは、
特別な事情として認められたりします。
しかし「原級留置もやむなし」となれば進級はできません。
中にはかなりの時間をかけて悩みに悩み抜く難しい局面もあります。
一人一人の状況がすべて違うので、難しい判断を迫られる会議ですね。
会議が終わったら
進級判定会議の日は
「原級留置になったら今日のうちに電話するよ」
とだけ伝えて生徒を帰します。
みんなドキドキしながら電話を待っているんですが、
ほとんどは進級できるので、
その心配は杞憂に終わります。
大変なのは、
原級留置が現実になった場合です。
本当に辛い原級留置の宣告

原級留置が決まった生徒には、
会議後に電話連絡を入れ、学年主任と担任で家庭訪問をします。
家庭訪問では、
原級留置が決まったことと、
会議の流れを話せる範囲で伝え、
転学か?退学か?それとも留年するか?
の選択を、保護者同席の元考えます。
ほとんどの場合、
生徒も保護者もショックが大きく冷静になれないので、
その場では回答を求めず、
近日中に結論を出してもらいます。
もちろん留年になった生徒本人と保護者が一番辛いんだけど、
我々も辛い…
責任感と無力感に苛まれる時間です。
カンニングを防げ!
過去に私が担任した女子生徒が原級留置になった時の顛末をご紹介します。
彼女は1,2学期の成績も振るわなかったので、
留年の可能性がありました。
そして、迫る学年末考査を前に
「カンニングをしてでも乗り切る」
とクラスで公言していたそうです。
これを耳にした担任の私は
「絶対にカンニングはさせない」
と、試験監督にあたる全先生に
「進級の危ない○○さんがカンニングをする、と公言しているようなので、なるべく近くに付いて絶対に不正行為をさせないでください」
とお願いしました。
もしカンニングを決行し、
それが発覚したら、
100%原級留置となってしまうからです。
考査中は私もさりげなく教室を見に行きましたが、
先生方の協力もあって、
彼女は不正行為をすることなく考査を終了しました。
ま、考査の不正行為って実はよくわかるんですね。
その見分け方や防止法は別記事をご覧ください。
不正行為はしなかった彼女、
しかし…結果は「原級留置」
私が知らなければ(知らないふりをしていれば)、
彼女は進級できた?…かもしれません。
会議前から可能性は低いと分かっていたので、辛い会議でした。
会議後生徒宅に電話し、
「お伝えしたいことがあるので○時ごろご自宅に伺います…」
と伝えると、
まもなく、
狼狽したお母さんが一人、
学校に駆け込んで来られました。
息を切らしながらお母さんは、
「娘には黙って来た」
「娘は勉強しなかった自分を本当に後悔している」
と言われ、
「お願いします。今から何とかできないものでしょうか」
と何度も懇願されましたが、
会議が終わってしまった今はどうすることもできないのです。
私はただ、
「申し訳ありませんが…」
「ご理解ください」
と頭を下げるだけ…
もうそれしかできないのです。
沈黙の時間が長く続きましたが、
家庭訪問は日を改めることを約束して、
お母さんには帰っていただきました。
その後彼女は通信制に転学しましたが、
その数か月後に地域の祭で浴衣姿の金髪ギャルに声をかけられました。
「せーんせー!げんきぃ~?⤴」
「私がんばってるからね~⤴」
「せんせーもげんきでね~~バイバーイ✋」
って…(;´∀`)
その後は会ってないからわかりませんが、
今でも彼女の家の近くを通ると
「どうしてんのかな?」
と気になっています。
最後に_失敗を糧にする…
進級判定会議は、小中学校にはない高校だけの関門です。
今回の記事には書きませんでしたが、実際に原級留置となった後にどんな選択肢があるか?は、
↓の過去記事に詳しく述べているので、心配な方はそちらもご覧ください。
私がこれまで経験してきた中で言えるのは、
原級留置は「人生の挫折」に違いありませんが、
必ずしもその挫折が今後の人生の足を引っ張り続けるものではない、
という認識は持ってもらいたいです。
なぜなら、転学等進路変更を余儀なくされても、
そこから逆転し、
人生開けた生徒も見てきたからです。
公立高校に勤めていると人事異動があるんですが、
通信制から転入してきた先生から、
進路変更した生徒の「その後」を聞く機会もあるんですね。
私が
「もしかして○○さんって教えてた?」
って聞くと、
「○○さんは△△大学に見事合格しましたよ」
と、転学後の逆転復活を聞くこともあり、
「転学が生徒にとって良い方向にいったな」
とホッとする瞬間もありました。
だから原級留置という挫折を味わっても、
現実はその後いくらでも挽回できるし、
そうなれば結果的に
「(留年が)いい経験になった」
と納得の機会に変えることができるはずです。
過去記事にも書きましたが、
若いころの失敗は
「その後の原動力」
となることが多く、
誰もが大なり小なりの失敗を乗り越えて成長していくのが人間です。
もちろん原級留置になるより、進級できた方がいいんですが、
「人生そんな失敗から学ぶこともできる」
ということを頭の片隅に置き、
今後も挫けず力強く生きていってほしいと願います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、また次回、、、
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