いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今回の記事は主に先生向けの内容ですが、
保護者や高校生にも一読してほしいものです。
さて、
学校の先生は忙しい
は、今や誰もが知る常識ですが、
なぜこんなに忙しくなったか?というと、
明らかに業務量が増えたのに、教員定数は昔のままだからです。
ではなぜ業務量が増えたか?というと、
①記録や報告を必要とする業務が増えた
②↑による会議や資料作成業務が増えた
③地域や生徒・保護者の要望に応える業務が増えた
からです。
反面、教材研究や授業時数は変わらないし、分掌や部活動の負担もほぼこれまでどおりですから、
先生は疲弊するし、志願者が増えないのも当然の結果です。
そんな現状の中、今回は先生の保護者対応について私見を述べます。
中でも若い先生に大きなプレッシャーを与えるのが、
モンスターペアレント(モンペ)対応です。
もちろん保護者からの意見、その多くは前向きなもので、
当然学校にも至らない点はありますから、
これを機に改善に生かせば、生徒・保護者・教員、三方よしの関係になれますし、
そもそもPTAは、学校と保護者が相互扶助の関係で生徒を育もう、という目的で設立された組織でもあります。
しかし一部保護者はわが子への愛情を「クレーム」という形で学校にぶつけてきます。
こういう保護者は、
私の主張が絶対だ!
と思い込んでいて、学校の方針やルールが間違っている
の一点張りなんですね(-_-;)
さらに若い先生には
「子どもを育てたことないくせに」
と見下してくることもあり、厄介です。
今回は保護者対応について、
私の経験等も踏まえ、知ってほしい点をお伝えします。
最後まで読んでいただけると、うれしいです。
平成以降の教師が、尊敬の対象ではなくなった理由
三尺下がって師の影踏まず
という諺はご存じですか?
先生に付き添うときは、三尺(=約90㎝)下がって、その影も踏まないことをいい、
転じて師を敬い礼儀を尽くす、って意味です。
今は死語になりつつある諺ですが、
昔の先生はそれくらい威厳ある存在だったんですね。
しかしその威厳に胡坐をかく教員が批判の対象となったのは、時代が平成になった頃からです。
夏休み丸々学校に行かず、パチンコ屋に入り浸る先生への不信感(昔は自宅研修の制度があった)
教員の喫煙や体罰が公然と行われることへの不満
バブルがはじけ、就職氷河期になっても国民の血税で安定の生活が保障される先生の立場
などが嫉妬や批判の対象となって、
社会の目はどんどん厳しくなりました。
不祥事などは鬼の首を取ったかのように大々的に報道され、
ネットでも大炎上する。
そんな風潮から、説明責任を果たすためだけの、記録や報告業務が多岐に渡り、
生徒への面倒見のよさが必要以上に求められるようになったことで、
教師はどんどん疲弊していったのです。
税金をもらって仕事してるんだから住民サービスは当たり前
というサービス業的感覚が醸成されて今に至る、ってかんじです。
だから三尺下がって…なんて諺は、今や死語になり、
逆にカスハラ的に理不尽なクレームが増えていきました。
私もメンタルボロボロになったことがある
そんな私も在職中にはモンペ対応にメンタルボロボロになったことがあります。
クレームの内容をここで書くことはできませんが、
中でもひどかったのは、
・電話で1時間ほど、サンドバックのように非難を浴び続けたこと(-_-;)
・職員室前の廊下で3時間以上、怒鳴られ理不尽な要求をされ続けたこと(-_-;)
いま思い出しても地獄の経験でした。

どちらもきっかけは、
ちょっとしたボタンの掛け違い的なことだったんですが、
共通するのは、
うちの子は悪くない(子どもの言い分をそのまま受け取っている)
先生方の対応に問題があり、子どもが傷ついている
とにかく謝れ!
しかし謝っても「謝って済むのか!?」とさらに攻撃される
もちろんこちらに非がある部分には頭を下げましたが、
私にも言いたいことはあったので、
少しでも何か言おうものなら火に油!で、
逆効果になっちゃったんですね(;’∀’)
日が変わってから学校を出たこともありました。
モンペ対応から学んだこととその対処法

こんな理不尽だった経験も、後になれば色々思うことはあります。
それを箇条書きにすると以下のようになります。
①どちらにも子どもを「よくしたい」という思いがあること
②電話より直接会って話を聞く方がいいこと
③根底には、教師への見下しや保護者自身のコンプレックスがあること
④一人で解決しようとは思わないこと
⑤吐き出させるとモンペも徐々に落ち着く
⑥アンガーマネジメントのスキルを高めておく必要があること
⑦「自分が正しい症候群」について知ること
以下、少し詳しくその対処法を書いていきますね。
どちらにも子どもを「よくしたい」という思いがあること
まず大前提として、教員側にも保護者側にも、
子どものために少しでも「よくしたい」という気持ちがあることを理解しなければいけないと思います。
ただ学校と親の価値観、山の登り方が違うんですね。
保護者対応で大切なのは、立場が違うだけで目標は一緒だという前提で、
違った登り方でも、互いに理解を深める、というスタンスを確認し、
その上で、互いの主張や改善点を話し合う必要があります。
私が過去勤めた学校で、
「なぜ二輪の免許を取得したら懲戒処分になるんだ!?(法律ではOKなのに)」
とクレームが入ったことがあります。
学校は三ない運動を盾に「子どもを守るため」のルールだと主張するも、
話は平行線なんですね。
そんな中、口火を切った体育の先生が、

お父さんの主張は正しいですよ。
しかし三ない運動は法律で子どもを守れないから、
PTAが作ったという歴史があるんですよ!
学校で作ったルールではないんです!
あなたは子どもに免許を与えても、その命を守れると言い切れるんですか!?
と一喝!
保護者の意見を理解しながらも、
きっぱりと言い切ったその迫力に、
その父親も
「わかりました」
と一礼し、帰られました。
保護者の言い分を理解しつつも、
必要以上に恐れず、きちんと主張すべきはすべきなんですね。
電話より直接会って話を聞く方がいいこと
これは絶対的に言えることですね。
電話でクレームが入った時は、これを長引かせず、
保護者に来校してもらうか、複数教員で家庭訪問し、
なるべく対面で対応する方がいい。
「学校としましても、その点に関しては真剣に対応する必要があると考えますので…」
とか言って、対面の機会を作ってみてください。
電話だけだと、
1対1対応になってしまうし、
お互いの表情が見えない中、
会話だけのやりとりになってしまうからです。
対面だと資料を使ったり真剣に傾聴する姿勢なども伝わるので、
必要以上に大炎上することも少なくなるんですね。
またどうしても保護者が対面を望まず、1対1を余儀なくされる場合、
可能であれば通話を録音してください。
教育委員会には必ず顧問弁護士が付いていますから、
後日力を借りるケースでも、これが必要となる場合があるからです。
根底には、教師への見下しや保護者自身のコンプレックスがあること
学校へのクレームは平成以降、先に書いたような教員の素行を問題視する風潮が強まり、
社会の目が厳しくなったことで増加傾向となりました。
またバブル崩壊後の就職難だった世代が親になり、
安定の職業である教員への風当たりが強くなったようにも思いますし、
これが一部保護者の嫉妬やコンプレックスを生んでいるとも感じます。
さらに就任早々から「先生」と呼ばれ、
目上の存在になる職業のため、
「下積みを知らない子ども相手の世間知らず」
と白い目で見られる職業でもあります。
こんな社会の目にどう対応するか?
は、教員の大きな課題だと思いますが、
そのためには、
- 学生時代からアルバイト等で広く社会経験を積むこと
- なるべく教員以外との人間関係も構築すること
- 常にスクールコンプライアンスの遵守を心掛けること
- 日頃から指導力強化に資する研修を怠らないこと
- 生徒情報の交換や共有に努めること
…等の心がけが必要であり、
周囲から攻撃される隙を作らない姿勢、が求められます。
一人で解決しようとは思わないこと
これもモンペ対応の大原則なんですが、
周囲も忙しい中、
周りを巻き込まず一人で解決しよう、
と問題を抱え込む先生も多いんですね。
しかし、
これは絶対一人でやってはいけません!
モンペ対応には、
必ず複数で対応し、
時には教員以外にも協力を求めましょう。
だから1対1となる電話対応はなるべく避けた方がいいのです。
モンペ対応には学年主任や管理職等に同席してもらい、
(保護者確認の元)録音やメモ等の記録を取りながら行うと、
必要以上の大炎上は少なくなります。
私は過去に教員+関係機関職員も交え、
10人以上で取り囲むようにして保護者対応をしたこともありました。
吐き出させるとモンペも徐々に落ち着く
保護者が学校へのクレームを実行に移すのは、
その不満やストレスがリミットを超えた時だけです。
モンペはリミッターを超えた時にだけ、
それを吐き出すため、行動に出るのです。
つまりクレームとは、一種の「ガス抜き」なんですね。
ほとんどの人はこのガス抜きを、
趣味や休息等で平和的に解消(昇華)しているんですが、
これをできない人がクレーマーになりやすい。
…なので、理不尽なクレームが入った時は、
次のように考えるのです。
この人はクレームという形でガス抜きをしている
全部吐き出したら落ち着くはず
今の自分は「聞く」のが仕事だ
と思いながら、
しかし傾聴している
という姿勢だけは崩さないように。
相手に「受け止められてる」と思わせないと、ガス抜きにはなりません。
モンペの多くは、吐き出し切ると落ち着いてきますよ。
アンガーマネジメントのスキルを高めておく必要があること
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を上手にコントロールするスキルをいい、
良好な人間関係を育むために必要な能力です。
これはすべての「怒り」を封じ込めるのではなく、
コントロールする方法を覚え、
建設的な解決法を探り、
仕事や学校生活、人間関係のパフォーマンスに悪影響を及ぼさないことを目的とするものです。
モンペに対応する時は、
恐怖に加え、
不満や怒りの感情も沸き起こるため、
冷静な対応ができないこともありますが、
こんな時にも自分を取り乱さず、うまく対応するためのスキルが必要となります。
まずは以下画像をクリックし、あなた自身のタイプを診断し、適切な対応を考察してみましょう。

「自分が正しい症候群」について知ること
聞き慣れない症候群ですが、
これは多くの人が持つ傾向の一つ。
心の扉メンタルカウンセリング横浜のHPには次のようにあります。
自分が正しい症候群とは、自分を認めてほしい、他人より優位に立ちたいという自己愛の強さゆえに、自分の価値観や正しさを押し付けてしまったり、自分の能力や経験を自慢したり、アピールしたり、相手を貶(おとし)めたりすることで自分の優位性を高めようとします。
「自分が正しい症候群の人」に共通する「9つの特徴」とは!?「自分が正しい症候群の人の心理」を自己分析してみよう!!より引用
自分が正しいと思うことは、誰にでもあり、それは自然なことです。
ただ、明らかに間違っているのに「自分が正しい」と言い張るのは潔くないというか、往生際が悪いというのか、見ていてあまりよいものではありません。(以下略)
とあり、これはモンペの特徴そのものだと納得された方もいらっしゃるはずです。
そして同HPには「自分が正しい症候群」の人に以下9つの特徴がある、とも書かれています。
それは、
学校に理不尽な要求を突きつけるモンペも、
こんな内面も持つ弱い人間だ、と知ることで、
先生自身が必要以上に恐れることなく、
別の視点も持って冷静に対応できるのでは?
とも思うのです。
まとめ

教員を長く続けると、何度かはモンペ対応に手を焼くことがあります。
学校の先生の多くは学生時代成績優秀で、大きな修羅場やトラブルに巻き込まれた経験も少ないから、理不尽な要求を突き付けてくるモンペ対応は「恐怖」以外の何物でもありません。
現実モンペ対応が原因で病んでしまう先生を私も見てきました。
しかし冷静に考えれば、モンペだって「自分の子をよくしたい」気持ちからカスハラまがいの言動に走ってるわけだし、学校側が常に”正解”とも限らないので、とにかく真摯に話を聞き、改める点は改める姿勢が必要です。
それと同時に、どう考えても理不尽で受け入れられない要求には、毅然としてこれを受け入れない芯の強さも併せ持つべきです。
特に謝罪や補償をしつこく強要したり、土下座など不当な要求を突きつけられた場合は、強要罪や脅迫罪という立派な犯罪行為になるので、警察の手を借りることも必要です。
そこまで行って「生徒がかわいそう」だなんて思ってはいけませんよ。
今日の記事はモンペだって同じ人間であり、理不尽なクレームの裏に、人の弱さや愚かさがあることを知り、先生方が冷静に適切な対応ができることを願って執筆をしました。
私自身の経験から感じたことを縷々書き連ねたので、不十分な内容もあるかと思いますが、少しでもモンペ対応に困っている先生方のお力になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
保護者といい関係を築き、共に生徒の成長に尽力されますようお祈り申し上げます。
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