【進路】_自分の理想像をイメージしたら本当に実現する話

進路
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今日のテーマは「自分の理想像をイメージするといい」という話です。
結論から言えば「物事はポジティブに考えた方がいい」という中身ですが、
本記事はこれを心理学的な側面と、私の教員経験から考察します。

高校生はいい意味でも悪い意味でも、純粋で染まりやすい一面を持ちます。
そんな特性を、いい方向に作用するような「考え方」を身につける動機づけになれば幸いです。

そして高校生活の最終目標である【進路実現】に活かせるよう、みなさんのメンタルトレーニングに活用してください。

また記事後半には、そんな高校生を支える保護者や教員の姿勢についても書いています。

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プラシーボ効果

プラシーボ効果とは、教育より医療でよく使われる語。
患者にあえて効き目があると信じ込ませた「偽薬」を処方し、改善を目指す治療法を言います。

例えば、睡眠薬と思わせて小麦粉を処方し、過剰な服薬の防止や、本物と信じ込ませたその思い込みで、副作用を抑えて治癒する目的に利用されます。

プラシーボ効果は、患者が「この薬は効く」と思い込ませることで効果を発揮しますが、
教育の場でもこれは同様で、「自分はできる」と思い込むことで、学業や部活動の成績が飛躍的に伸びることがあります。
これがいわゆる「思い込みの効果」です。

さらに身近なもので例えると、寺社仏閣で授かる「お守り」「お札」の類も、典型的なプラシーボ効果を狙ったものです。
お守りを手にしたからと言って、合格や勝利が保障されるわけではありませんが、少なくとも少々の安心や勇気の元となって、試合や入試当日に落ち着いて実力が発揮できるなら、その効果があったことになりますね。
私も高3の担任をした時は、下のお守り消しゴムをクラスの生徒にプレゼントしていました。

日本人の自己肯定感の低さ

中高生にとって最重要ともいえる意識。
それが「自己肯定感」です。

簡潔に言えば「自分には能力がある」とか「やればできる」という意識です。

しかし統計によれば、日本の若者の自己肯定感は、
諸外国と比べ、圧倒的に「低い」んですね。
自分に自信がなく、将来に展望を見出せない若者の割合がとても低い!
詳しくは下記データを参照してください。

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2022/03/new_pr_20220323_03.pdf

わが国には古来より「謙遜の文化」が根強く、「人より目立たない」「遠慮する」「へりくだる」のを美徳とする意識がありますが、これが逆に日本人の自己肯定感が高められない、という一面にもなっています。

教育困難校の生徒は劣等感の塊だった…

私は過去に地域の教育困難校にも勤務したことがあります。
3年間で1クラス以上の生徒が休転退学するその学校は、劣等感の塊のような生徒集団でした。

「自分はバカだから…」

と言ってすぐに諦める生徒たち。
英語はアルファベット、数学は九九からの授業。高3になっても2割引きの計算ができない生徒が大多数の学校で、どう自己肯定感を高めるか?
という難題に先生方は挑戦している学校でした。

その一つの光明が「部活」だったんですね。
特に運動部の先生方は、徹底的に生徒を鍛えて、少しでも生徒たちの「劣等感」を「優越感」に変えるため頑張っておられました。

そしていくつかの運動部が全国大会に出場するなどの実績も上げましたが、部活至上主義がもたらす弊害も現実にはあり、教員としては複雑な気持ちでした…(;’∀’)

自分は「できる」と思い込む

女子生徒との会話でよく耳にしたのは、
「もっと痩せなきゃ」
とか、
「私はかわいくない」
という言葉でした。

自分を謙遜してそう言ってるのか?
「それ以上痩せる必要あるの??」
と本気で尋ねても、
「先生にはわからないから!」
と一蹴されちゃうんですね(;´∀`)

私から見れば、十分痩せてるし、十分かわいく見えるのに、
自分に自信が持てない様子です。

しかし一方で、高校生が「自分はできる」と手応えを掴んだ時は、
そこからの「伸び」は目を見張るものがあります。
そしてこんなプラスイメージを持つ生徒は、そのほとんどが不思議と第1志望に合格していきます。

短期目標の設定とPDCAサイクル

「自分はできる」と信じて自己肯定感を高めるのに効果的なのは、
短期目標の設定です。

〇〇大学合格なんていう長期目標も大切ですが、
「今日は問題集のここまでを終わらせよう」とか、
「次の模試は偏差値を〇まで伸ばそう」…など、比較的短期の目標を設定し、
それが実現したら、
「やはり自分はやればできる人間だ」
と自分に言い聞かせます。

そしてこれが実現しても、しなくても、
その原因がどこにあったか?を、自分なりに検証します。
検証して、また計画~実行して、結果を検証する。

これが有名な「PDCAサイクル」と呼ばれるものです。
PDCAのイメージ図は下のとおりですが、
大切なことは、このサイクルを繰り返して、
螺旋階段のように短期的にグルグル回しながら実力をつけていくこと、です。

サッカーの元日本代表である本田選手は、
小学生の頃に毎日「夢ノート」を日記としてつけていたそうです。
サッカーの技術を向上させるためにどうしたらいいのか?を毎日書いているノートで、
「スポーツ選手はノートを書けばうまくなる」と、親戚のアスリートに助言されたそうです。

これもPDCAサイクルの一例だと言えますね。

根拠のない自信で十分

ここまでを読むと、自信は「相当な準備と積み重ね」によって得るもの、
という印象になりますが、いえいえ…、
私は「根拠のない自信」でも十分だと思っています。

正直申し上げて、人には「素質」がものをいう場面もあります。
…が、素質で勝負する機会は、もっと高い次元でのことで、高校生活ではそんなに多くはありません。
高校の学業や部活動は、中学より確かにハイレベルを求められますが、プロレベルではありません。

高校生は「自分はできる」と根拠なく思い込むことだけでも、確実に成績は伸びますし、これは私が保障します。
「プラシーボ効果」とは、そんな「心」の持ち方ひとつで効果を発揮するものなのです。

思い込みの効果と怖さ

今夏の甲子園は仙台育英高校の優勝で幕を閉じましたが、
特にセンバツ圧勝の大阪桐蔭を逆転で下した準優勝の下関国際高校の勢いは、テレビからも伝わってきて、高校生が急成長して自信をつけていく姿を見せられました。

高校野球に限らず、私は教育現場で似たような生徒の成長を何度も目撃してきました。
特に印象的だったのは、部活を引退した3年生が、受験勉強に舵を切り替えてからの爆発力です。
部活で培った努力や集中力が、「やればできる」自信を育み、受験勉強にも活かせるんですね。
朝早くから登校して自主勉。放課後も遅くまで自主勉。
「帰れ」と学校を追い出してからはイオンのフードコートで勉強。(大丈夫なの!?)
「家に帰ると安心しちゃうから…」と、どこまでも自分に妥協しない姿勢に、心配と感動したことが何度もありました。

そんな一方で「思い込みの怖さ」も…
前述の困難校生徒の「自分はバカだ」という思い込みや、人間関係の思い込みによるトラブルもありました。
困難校生徒の思い込みは、伸びる可能性をも潰してしまうし、
人間関係の思い込みは、不登校やいじめ、極端な事例ではストーカー行為やデートDV等に直結することだってありましたね…。

ピグマリオン効果

ここからは保護者や先生に向けた内容です。

教員なら誰もが知っている「ピグマリオン効果」
これは他者からの期待があると、それに応えようと学習や仕事により効果を発揮する、という心理効果のこと。

教師や保護者が「この子はできる」という期待を持って子どもに接すると、
子どもは、その期待に応えて努力し、成績向上に繋がる、というわけです。

私も若い頃は「本当かなぁ?」と、その効果を疑問視していましたが、
いやいや…これは本当なんですね~~!

生徒って、大人のそんな心理にものすごく敏感です。
自分はホントに期待されているか?どうでもいいと思われてるか?を感じ取っています。

だから保護者や教師は、生徒のいいところを見つけて前向きな言葉にしてやることが不可欠です。

「○○(生徒の名前)って、いつも頑張り屋さんだね~」
「真剣に勉強してる時の○○って、いい目してるね~」
「その調子なら絶対に大丈夫だよ~」

これは逆の場合でも悪影響を与えます。

「あなたっていくらやっても伸びないのね」
「素質がないから別の道を選べば?」
「お父さんも出来が悪いから、あなたも伸びないのよ」

進路指導でのピグマリオン効果

Benesseの模試では、受験後に以下のようなデータが学校に送られてきます。
GTZとは、学習到達ゾーンのこと。詳しくはBenesseマナビジョンLabをご覧ください。

GTZ合格者数不合格数合格率判定
S1
S2
S3100
A1100
A2100
A31588
B12080
B2111444
B32020
C11517
C21017
C31214
D113
D2
D3
それ以下
〇〇大学△△学部一般A方式
模試学力層による昨年入試結果星取表(例)

これは一例ですが、昨年度模試の学習到達度による各大学の合否結果を一覧表にしたもので、
上記の場合だと、A3以上がA判定、A3~B1がB判定、B2がC判定、B3~C1がD判定、それ以下がE判定になりますね。
つまり、このケースだとB1~B2あたりがボーダーとなりますが、たとえ今、CやDレベルでも、その後の頑張りで合格できる可能性のあることが数値からも読み取れますね。
「このデータから、君の頑張り次第でまだ合格可能性はあるよ。期待してる」
と、面談時に励ましの声かけをする材料にもなるわけです。
また逆にボーダー以上の受験生でも不合格者はいるので「油断はできないよ」という注意喚起をすることもできる資料なのです。

ハロー効果

ハロー効果とは、「光背効果」とも言い、人の肩書や身なりの差で、違った印象を与えること。

例えば、

  • 校長先生の話は重みがある
  • 有名人が宣伝しているから購入してみよう
  • 身だしなみがしっかりしてるから、中身もしっかりしている
  • あの店のお菓子は金賞を受賞しているから美味しいはず

という具合です。
よく考えてみれば、同じことを伝えるのでも、話す人によって違った捉え方になるのはおかしい、とも思います。
しかし、これが現実です。

茶髪の男子生徒に「なぜ染めるの?」と聞いたら「強そうに見せるため」という答えが返って来たり、その茶髪のままで面接に行かないのも、すべてがハロー効果によるものです。

ハロー効果を上手く利用する

そして、これは親や教師にも当てはまります。
先生には毎日スーツの人と、毎日ポロシャツの人がいます。
毎日スーツの先生は、スーツを着用することで、そんな自分を演出しています。

高校を中退した保護者が、自分の子に「大学に行け」と言うだけでは説得力に欠けます。
本当に大学を目指して欲しいなら、「中退して困ったこと」や「大学へ行く意義」を伝え「親が子ども以上に勉強する」姿勢を持っていることです。

たまに独身で子どものいない先生を、保護者が下に見ることもあります。
「先生は子どももいないのに、親の苦労がわかるんですか?」
なんて言われて、凹んでる後輩教員を励ましたこともあります。
仕事もろくにしない年配教員より、よっぽど頑張ってる先生ですら”若い”というだけで、下手に見られることもあるんですね…(-_-;)

教員の最たるハロー効果は「授業が上手いこと」です。
どんな学校でも「授業が上手い」「授業がおもしろい」先生の言うことを、生徒はよく聞きます。

保護者の最たるハロー効果は「生きる姿勢」です。
家族のために、辛いことにも頑張っている姿勢。
家族のために、優しく明るい雰囲気を作ってくれる姿勢。
両親が仲良く、お互いをリスペクトし愛し合っている家庭。

そんな尊敬できる保護者や先生に恵まれた子どもは幸せです。
そして子どもたちは、そんな大人を目指して、真っ直ぐに勉強や部活に取り組むでしょう。

プラシーボ効果やピグマリオン効果とともに、ハロー効果によってその効力が左右することを、大人は理解しておく必要があります。
そして大人の姿勢が、子供の将来に大きく関わっていることを再確認したいものです。

みなさんのよりよい進路実現が達成できますように…。
ではでは、また次回、、、

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