いつもご覧いただき、ありがとうございます。
新入生のみなさんは、新生活にドキドキとソワソワの毎日だと思いますが、
今後の理想的な高校生活を夢見て、気持ちも昂るばかりだと思います。
今日は、高校生活をスタートした新入生向けに、
【高校の授業】をテーマにしたいと思います。
もちろん高校にも中学同様、授業に部活、行事、人間関係…と多様な活動が待っているのですが、中でも大きな違いといえば、欠課時数や成績で原級留置(留年)という制度があることです。
部活は参加しなくても留年にはなりませんが、授業だけは規定以上の出席と成績がないと、進級できないシステムがあるので、高校で最重要なのは何よりも「授業」なんですね。
たとえ部活を高校生活の中心にしたくても、原級留置になってしまえば、それすらも叶わなくなってしまいます…(-_-;)
今日は中学の授業との違いや、高校ならではの注意点をお話します。
特に入学後のスタートダッシュに乗り遅れないよう、授業の受け方や家庭学習について、今のうちにしっかり対策をイメージしておきましょう。
なお本記事は、2023年3月21日公開のリライト版になります。
さらに中学と高校の違いについて書いた過去記事も併せて参照してください。
どちらも最後まで読んでいただけるとうれしいです。
中学と高校の授業の違い
中学校が抱えるジレンマ
まず最初に断っておきますが、ここで書く中学校の授業は「公立」中学校をモデルに書きますね。
一般的に中学校は義務教育ですから、様々な生徒が存在します。
のび太から出木杉くんまで、多様な生徒が混在する中で、先生は授業をしなくちゃいけないんですね。
この混在する状態のことを業界用語では「縦長」と呼びます。
縦長の学力層に向けて授業する時は、その「中間層」に照準を合わせざるを得ないんですが、これをすると、上位層には簡単すぎ、下位層には難しすぎる内容となるため、授業に向き合わない生徒も出てくるんですね…。
もちろん先生方はそんなジレンマに胸を痛めながらも、協働学習など様々な工夫をしながら授業を展開しておられますし、そんな現状を知る高校教員から見たら「中学の先生は尊敬に値する存在」でもあるんですね。
あと縦長の集団には、多様な価値観が存在するので、対人関係力が鍛えられる一方、いじめ等の問題行動も起こりやすくなるという特徴が見られます。
またそんな学力ギャップを埋めるための「塾」は少子化の今も盛況ですし、塾にお金をかけるならその分中学受験して私立に行かせたいという家庭が多いのも頷ける考えです。
特に都市部ではその傾向が強く、学校間格差が大きいんですね。
しかし学校間格差は悪いことばかりではありません。
この格差をうまく利用して指導計画を立てているのが、最初から学校間格差がある高校です。
そういった意味で、高校の授業は、中学とは大きく違うところがあります。
高校の授業
学校間格差
高校は、最初から「偏差値」で輪切りされた一定層の生徒が集まる集団です。
ネットには偏差値のランキングが普通に踊っているし、これをステータスとする風潮があることも認めます。
私も何校かを経験しましたが、bとdの区別すらできない生徒がいる学校から、教育実習に行った大学付属の男子校のように卒業生の大半が東大に進学する超々進学校まで、まるで違う雰囲気を味わいました。
そしてそれぞれで見た現実は、
「生徒のステージに合わせて指導計画を立てている」ことです。
中高一貫の教育実習校で最も驚いたのは、中1の6月で化学の元素周期表をすべて覚えていることでした。
一方、bとdの区別ができない生徒のいる高校では、アルファベットから英語の授業がスタートするんですね。サッカー部顧問の先生は「dは”adidas”のd!」「反対がb」と教えておられました(^^;
つまり学力間格差がはっきりした高校は、入学する生徒の学力レベルに合わせた授業を展開している、ということです。
だから学校によっては、中学より簡単に感じることもあれば、逆にレベルの高さに面食らうこともありますが、高校入試で合格したということは「その学校の授業について行ける学力を有している」という意味なのです。
高校の授業は自分の適性や方向性を見つける機会でもある
高校の授業は中学の学習をさらに発展させるので、当然レベルは高くなります。
だから中学時代にオール5でも、高校で同じ成績を取れる保証はありません。
つまり高校での授業は、オール5を目指すより自分の得意教科や適性を発見する場でもあるといえ、現実に高2から文系理系別に、高3では進路に合わせさらに細かく授業選択するのが一般的です。
さらに高校卒業後の進路は、中学生のそれとは比較にならないほど多彩な選択肢が用意されています。
そして、高校入試のように5教科均等で競争するのではなく、得意教科のウェイトを高く、少しでも有利に働く受験計画を練って勝負するのが高校生の進路計画です。
以上から、高校の授業は、自分の進路選択に絡めた「自己の適性」や「方向性」を見つける機会でもある、と捉えましょう。
もちろんどの教科も留年にならない最低限のレベルこそ求められますが、その中で「これだけは誰にも負けない」とか「負けたくない」と思える授業に出会いたいものです。
そんな思いが、最終的に進路選択のきっかけになることは確かです。
だから高校では「得意教科を伸ばす」ことや「好きな教科を見つける」目的で授業に向き合うのも”あり”だと思っています。
高校の授業はこう受ける
まずは授業を大切にする
常識的なことですが、まずは受講する授業を大切にしましょう。
基本的には「授業で理解する」という目標を持って授業に臨むのです。
授業は先生主導で進める場合と、生徒同士で探究的協働的に取り組む機会もあり、周りに助け助けられて理解を深めることができる時間です。
わからないことが出てきたら、可能な範囲で検索・質問し、わからないところを積み残さないようにしてください。
友だちや先生に質問しにくい気持ちもわかりますが、「質問され人に教える」活動も、その人にとって理解を定着させる大切な”学び”になるのです。
下は過去記事でも紹介しました学習定着率を可視化した「ラーニングピラミッド」とよばれるもの。
1人でもできる方法より、誰かと絡みながらのスタイルが定着率が高い、ということがお分かりだと思います。
そういった意味でも、普段の授業を大切にしたいものです。
さらに参考として学力伸長をテーマに書いた過去記事も併せてご覧いただけるとうれしいです。
予習・復習
家庭学習の大切さはこの後にも書きますが、
高校の授業をぶっつけで受けるのは危険です。
入学後しばらくは、中学の復習的な内容を含むので「大したことない」と舐めてかかってはいけませんよ。
過去記事にも書きましたが、高校の授業が本当に難しくなるのは、2学期以降です。
それまでに家庭での予習復習を習慣づけておかないと、入学後半年を過ぎたあたりから、ズルズルと授業について行けなくなり、高校生活にやりがいを感じなくなっちゃうんですね。
この状態を【高1クライシス】というんですが、できればこんな危機を経験せず乗り切るためにも、毎日の予習復習を欠かさないよう強くお勧めします。
最悪は「何がわからないのかわからない」状態になってしまい、質問すらできなくなって大混乱になります。
大雑把にいえば、
文系科目は予習中心
理系教科は復習中心
が効果的だといわれます。
繰り返し・継続
学力を定着させるもう一つの方法は、同じことを繰り返し、これを継続することです。
部活でも毎日同じような練習を繰り返すのもこのためです。
これも過去記事に書いたように、人は忘れる動物ですから、繰り返しや継続でこの弱点をうまく補う必要があるのです。
詳しい復習方法は以下に書いておきますね。
家庭学習の重要性
高校の授業をぶっちゃけ家庭学習抜きで乗り切るのは不可能です。
小中学校時代に乗り切れた人でも、高校の授業はぐんとレベルが高くなるからです。
例えば何の事前情報もなしに映画を見に行く人はまずいません。
監督が誰で、どんなシリーズで、出演者は誰か?
さらに大まかなあらすじ、といった事前の基本情報があるとないでは、その受け止めは大きく違うでしょう。
予習の大切さは、まさにここにあります。
また同じ映画を2回3回と見たら、最初は見過ごしていた大切なシーンに気付き、より理解が深まることもありますが、
これが復習の大切さです。
高校の先生方は、家庭学習習慣化の重要性をよくわかっていらっしゃるので、あえて宿題を課し家で机に向かう時間を作ろうとします。
しかしこれは本末転倒だと思います。
高校生なら自分から机に向かう習慣を作ることが大切です。
言われてイヤイヤ課題に取り組んでも成果は出にくいでしょう。
高校生になって求められる姿勢は「自主的に考えて動くこと」であり、
誰かに指示されて動いてばかりではいけないのです。
忘却曲線を知って付箋を活用する
そこで活用できるのが、
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」です。
これは、記憶と忘却時間の流れを可視化したものですが、
より効果的に「ふりかえり」や「復習」を行って、記憶の定着率をアップさせる、というもの。
グラフからもわかるように、
当日→3日後→1週間後→2週間後
と振り返りの機会を持つことで、記憶がより定着する様子がわかりますね。
つまり、やったらやりっ放し、ではほとんど意味がなく、
このことからも、家庭学習を計画的に進める大切さが理解できるでしょう。
私的には、これを付箋を使って可視化する方法をお勧めします。
これは授業終了後の当日に、
特に大切なところやわかりにくかったところ=赤の付箋
概ね理解できたポイント=青の付箋
その他復習(ふりかえり)が必要と思うところ=緑の付箋
…といった具合に、授業日を書いた付箋を張り付けておき、
定期的にふりかえりを行います。
ふりかえりを行っても理解できない点は、
黄色の付箋
を付けて、先生や友人に質問をします。
付箋は教科書やノートの上部に付け、
理解や定着が図れたら、横に付け替えます。
そして考査前や受験勉強時に再確認する。
という流れです。
ダメな勉強法
一方で、
教科書やノートを読むだけ
ラインマーカーするだけ
教科書写すだけ
という勉強法、
これが意外に多いんですね。
この勉強法は、
本人が勉強した気分になるだけ…で、実はほとんど効果がありません。
これは勉強ではなく、
作業
です。
線を引いたらもう終わり(;’∀’)
手や目は動いても、脳が働いていないので、効果的ではないんです。
何を理解し、何がわからないのか?
がわかること、
さらに、これを活用するアウトプットに活かせる勉強をしなければいけません。
インプットとアウトプット
予習や復習が「インプット」なら、これを活用する「アウトプット」も家庭学習では大切です。
家庭学習におけるアウトプットは、問題演習です。
いくら英単語や公式を知っても、これを使えなければ「宝の持ち腐れ」です。
さらに決められた問題を、決められた時間内にクリアしなければ結果は出ませんから、いかに効率的に問題を片付けるか?というスキルも鍛えなくちゃいけませんよね。
もちろん学習は、テストでいい点を採るためだけにやるのではありませんが、
まずは定期考査や模試で活用できる状態にならなければ、その意味を感じるのは難しいはずです。
その上に立って、みなさんの得た知識や教養が、将来より良く生きる原動力になるのです。
詳しくは勉強する意義を説いた過去記事もご覧ください。
オンライン学習サービス
これは説明の必要はありませんね。
中学校からたくさんの人が利用しているはずです。
いろいろなレベルの講義動画が用意されていて、講義時間も割と短めで、受講生が飽きない配慮がされています。
スタサプ(スタディサプリ)等の有料サイトからYouTubeの無料動画、学校単位で加入するClassiにもたくさんの講義動画があります。
数年前には無かったサービスです。
これを利用しない手はないと思いますね。
進路室前に案内パンフが置いてあることもあります。
少し割安に契約できることもあるので、気にして見てみてくださいね。
塾や予備校は行くべきか?
「高校の授業は難しい」
「高校には留年がある」
…などと脅されると「やっぱり塾や予備校に通った方がいいですか?」と質問をされますが、
結論を言えば、
「入学してしばらくは行かない方がいい」
と私は答えています。
まずは新生活に慣れることを最優先してほしいからです。
授業の進め方や難度、家庭学習時間、さらに通学や部活でどれくらいの時間と体力が必要になるかは、入学後しばらく過ごさないとわからないからです。
ある程度学校生活に慣れ、その上で塾や予備校に行く必要や時間があれば行けばいい、くらいに考えてください。
同じように通信教育を始めるのも、ある程度高校生活に慣れてからで十分です。
「最後のチャンス」と謳うパンフが山のように送られてきますが、惑わされる必要はありませんからね(^^;
まとめ
これを読んでいるみなさんは、高校入試まで必死で勉強して今の夢を叶えた人たちがほとんどのはず。
入試の一区切りがつくと、一気に熱が冷めてしまいスタートダッシュに出遅れる人、あるいは最初からがんばりすぎて途中でガス欠になる人…
高校で理想的に授業について行ける人は、実はそう多くはありません。
やはりそれなりのレベルを求められるので、ハードルは高いんですね。
そして生徒はたくさんの回り道をしながら成長していくのです。
だから先に書いたように高校では「オール5」を目指す必要はありません。
それより「この教科が好き」「この分野をさらに深堀したい」と思える授業に出会えた生徒の方が幸せだと思うこともあります。
自分の適性や方向性が、受けた授業から可視化できるのが理想的ですね。
もちらん先生だってそんなつもりで授業をしておられます。
人にはそれぞれ向き不向きがあるので、たくさんの生徒を教える中で、何人かにでも好影響を与える授業ができたら、それは仕事のやりがいにもなるんですね。
さて新入生のみなさん、
これからの高校生活をより充実させるためにも、
自分で考えて行動する習慣をつけてください。
言われないと動けない自分から卒業しましょう。
みなさんの有意義な高校生活をお祈りしております。
何かに迷った時、またこのブログに来ていただけるとうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、また次回、、、
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