【勉強】ってなぜするの? 智(知)仁勇は天下の達徳_人生に大切なことって…

学習
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今日は「なぜ勉強するのか?」についてお話をします。

私も高校生の時「因数分解なんておそらく一生使わないことを、なぜ今必死になってやってるんだろう?」と疑問に感じたことがありました。
入試ではこんなにも生活の役に立たない英単語や公式、年号などを必死に覚えて「正解数の多い人が合格」っていうシステムも不思議でした。

みなさんもそんな疑問を感じたことはありませんか?

しかし、そんな受験生が高校の教員になり、30年以上生徒と関わる中で、
「やはり勉強はやった方がいい」
と思うようになりました。

勉強をやる意味の正解は、もちろん一つではありません。
今日は「勉強」の必要性をいくつかの角度からお話をします。
賛同できたり、できなかったりするかもしれません。
かなり長文になりますが、最後まで読んでいただけるとうれしいです。

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広く掘らねば、深くは掘れぬ

学校の勉強は「生きていくため」に必要なことを学ぶ機会です。

人は大人になると社会に出て働き、自分や家族の生活を支えて生きます。
仮に「魚屋」として働くなら、魚の種類や調理法などを熟知し、これを求める人の役に立つわけです。
そのためには一般の人にはない「知識」と「技術」が必要です。
魚を上手く捌けないからといって簡単に辞めるわけにはいきません。
できないのなら、できるようになるまで修練を重ねる必要がありますね。

さて、ここ(仕事)で必要となる能力はどんなものが必要でしょう?

集中力=ミスの無いように一つ一つの仕事に手を抜かず丁寧にやる能力
忍耐力=長時間の仕事やトラブルにも投げ出さずやり切る能力
記憶力=たくさんの情報を蓄えておく能力
思考力=どうすればより合理的な仕事ができるかを考え組み立てる能力
判断力=より適切な選択は何か?を判断する能力
表現力=より分かりやすく、より美しくアピールする能力

適応力=その場に応じた適切な対応ができる能力
創造力=素晴らしい未来を創造するためにイメージする能力
人間力=安心して親しみやすい人間性
体力 =健康で丈夫な心身

好奇心=知らないものに興味関心を持つ心

これを学校の勉強に当てはめると、

教科どんな力を育むか仕事でどう活かされるか(主な能力)
国語全ての教科の要(かなめ)
読み書きを中心とするコミュニケーション能力
他人の気持ちや考えを理解し尊重する心情
先人の知恵や伝統・文化を学ぶ
他人との意思疎通(人間力・表現力)
他人の心情を把握(人間力・好奇心)
豊かな語彙で自己の考えを伝える(記憶力・思考力・表現力)
数学論理的思考力・問題解決能力
計算力・空間認識能力…等の涵養
問題解決までのプロセスを論理的に考える(思考力・忍耐力)
時間や空間を把握して適切な判断を行う(判断力)
データや統計の分析(思考力・集中力)
社会
(地歴・公民)
社会生活の仕組みや営み
人間の英知や過ちの歴史
次世代を創造する意欲と能力
経営や経済の知識(記憶力)
より良い生活や仕事をするための可能性を探求する(判断力・思考力・適応力・創造力)
理科科学的好奇心を涵養
自然の摂理を知る
自然への対応力適応力(好奇心・適応力)
安心安全に生きていく能力(思考力・適応力)
外国語グローバル社会に通用する言語能力や文化グローバルな視点やコミュニケーションに不可欠(表現力・適応力)
保健・体育健康な暮らしの創造
丈夫な心身の育成
スポーツを楽しむ心情
健康に留意して仕事に取り組む(体力)
気力体力を充実させて臨む(体力・集中力・忍耐力)
芸術鑑賞力・表現力・創造力の涵養人類が創造した文化伝統を継承し、また新たな文化を創造する(好奇心・表現力・創造力)
家庭衣食住や保育に関する基礎的な能力人が生きていく土台を涵養し、生活を充実させる(判断力・適応力)
子どもを育てる(思考力・判断力・人間力・忍耐力)
情報IT社会を生き抜くための技能修得
ネットリテラシーの涵養
仕事で使うパソコンの操作や、大切な情報の取り扱い(思考力・判断力)
総合探求教科横断的な問題解決能力の育成
答えが一つではない課題への向き合い方
上記を総合して総合的横断的に知識や能力を活用できるようにする(全て)
社会人になっても勉強をやり続ける気持ちと能力(好奇心・集中力・忍耐力)
あくまでも私見です

…となるでしょうか、、、

学校の勉強には、立場(大人と子ども)の違いから、形こそ違いますが、大人になって生きていく上での大切なエッセンスが詰まっています。

因数分解自体を大人になって使うわけではありませんが、問題解決に至るまで「道具(公式)」を使ったり「プロセス(解法)」を考えて実行する過程は、数学の問題を解くのも、社会人として問題解決に導くのも、全く同じ思考回路を使うということです。

社会人になると、こんな能力を深く掘り下げながら仕事をします。
魚屋さんなら、魚の専門的な知識技術に加え、経営のこと、同僚やお客さんとのコミュニケーションや情報管理、自己管理…などが必要です。
魚屋さんにパン屋の専門知識は必要ありませんが、ある一つを深く掘り下げて、そこに付随する多様な能力を必要とするのが「仕事」です。

このことから、
「広く掘らねば深くは掘れぬ」
と、穴を掘ることに例えて、仕事の特性を表した語があります。

一つのジャンルを深く掘り下げるために、周りを浅く広く掘る。
これが社会人として求められる基本的なスタイルなのです。

仕事の専門性に関する私の過去記事もご覧いただけるとうれしいです。

勉強は楽しい

みなさんの多くはスマホやswitchとかでゲームをしますね。

ゲームははまってしまうと抜け出せなくなる中毒性があります。
私も昔マリオやドラクエ、ダビスタで中毒になりました(;´∀`)

ゲームはなぜ中毒になるのか?
それは「おもしろくて楽しい」からです。

しかし最初からおもしろいわけではありません。
途中から嵌り出してくるんですね~
私がそうでした。
スライムばかりと戦っても、おもしろくないんです…

やっていくうちに
・スキルアップしたり、
・強い敵が出て来たり、
・それでも負けてしまったり、
・さらにまた新しい展開に入ったり、
・新たな戦い方を発見したり…

していくうちに中毒になります(;´∀`)

これ、
勉強と全く一緒なんですよ!

勉強は、
・スキルアップしたり、→成績が上がる
・強い敵が出て来たり、→より難しくなる
・それでも負けてしまったり、→点数が伸びない、でも諦めない
・さらにまた新しい展開に入ったり、→別の単元に入る
・新たな戦い方を発見したり
→新しい考え方や解法、工夫を見つける
…など体験していくうちに中毒(好き)になります(;´∀`)
ドラクエを制覇した時は、エンドロールを涙しながら見てましたから…(^^;

勉強だって、最初から楽しいと思う人はいません。
多くの人が、楽しくなる前に諦めてしまうのです。
これは我々大人にも責任があります。
家庭や授業で「学び」の本当の楽しさを教えてないんじゃないか?って思うこともあります。

学校にいた時に感じたのは、楽しそうに授業をする先生の教科を好きになる生徒が多いな、ということで、これは私も心掛けていました。
「先生、授業中本当に楽しそう」
と言われるのが、とてもうれしかったですね。

さらに勉強は、難しい問題が解けた時ばかりではなく、
「新しいモノの見方や考え方」を得た時にも、その楽しさを感じることができます。

これまで「当たり前」だと思っていたものが、当たり前じゃないと分かった時や、
違う「山の登り方」を知った時、
学問の奥深さや幅広さを実感した時…に
「楽しい」とか「スゴイ」と感じるのです。

私が過去に担任を持った生徒が受験勉強中に、
「すべての教科が関連性を持っていることを発見した」
と言っていました。
彼女は今、小学校の教員として活躍中です。
きっと有益な「学び」を得た受験生活での経験を、小学校でも活かしてくれているはずです。

先生に「なぜその教科が好きか」聞いてみる

そんなことから、最も身近な学校の先生に、
「先生にとって、○○の教科の魅力は何ですか?」
って聞いてみてください。
この問いに楽しそうに答える先生は、本気でその教科が好きな先生です。

おそらく生徒にも勉強の楽しさを知って欲しいと思う先生は、いくらでも話してくれるはずです。

こんな先生に出会えたら、あなたは幸せな生徒です。
話の最後に、
「先生は自分の好きなことを職業にできて幸せですね」
と言ってあげてください。
これは先生にとって、とてもうれしい一言で、これからも一生懸命教えていただけるはずです。

疑問や疑いを持つ

そして、勉強を深くやっていくと必ず生じる「モノの見方」の一つに「疑問」「疑い」があります。
天動説が信じられていた昔に、これに疑問を持った人がいたからこそ、今の定説があるわけです。
冒頭に書いた「なぜ勉強するの?」という疑問も、勉強をやった人にしか湧かない感情であり、疑問が湧けば、これを解決しようと思うのが人間です。
そして疑問が解決できたら、これはその人にとっての「真実」になります。

人から教わって得た知識は、ウソの情報もあります。
「この壺を買えば、先祖供養ができる。ハイ200万円」
と言われて、ホイホイ買ってられませんよね(;´∀`)

何でも素直に信じる人は「カモ」であり、心の中で「バーカ!」と罵られておしまい(-_-;)
勉強をした人は、疑問や疑いを持つ習慣が身に付いているので、簡単に騙されたりはしません。

あなたが安全安心の人生を送るためにも、勉強をすることはとても大切な意味があるのです。
学費に関する過去記事高卒の学歴が必要な記事にもよく似たことを書いているので、併せてご覧いただけるとうれしいです。

「やればできる」を体感し、自信をつける

言い古されたセリフですが、
「やればできる」
を体感し自信をつけるために、勉強や部活をする意義はあります。

勉強も部活もゲームだって、簡単ですぐにクリアできるものなら、これを乗り越える価値はありません。
困難で乗り越えるのが難しいからこそ、努力を惜しまないし、乗り越えた時に本当の「自信」がつきます。

そしてこの体験は、これからの人生で同じような困難にぶつかった時に、これを乗り越える原動力となるものです。

もちろん、全てのハードルを乗り越えられるわけではありませんが、
乗り越えようと努力するか?
諦めて引き返すか?

…で、その後の人生は大きく変わりますよ。

「失敗」はチャレンジした者しか体験できない大切な財産なんですね。
以下の過去記事も参照してください。

自分の希望や可能性を実現するため

「マックジョブ」という語をご存じですか。

これは簡単なマニュアル通りにやれば、誰もがこなせる仕事を意味します。
高校生のバイトはマックジョブ的なものが多いですね。

しかし世の中には、資格やスキルがないとできないことがたくさんあります。

学校の教員は教員免許がないとできないし、医者や弁護士、パイロットなど…誰もが就ける仕事ではありません。
このような「資格仕事」は、勉強して能力が認められた人にしか免許が与えられない仕組みになっていますが、このことから勉強する意義は、自分の希望や可能性を活かし実現するために必要です。

就職時に、学歴や資格が重視されるのは、これが「能力の有無」を測る大事なものさしであり、能力ある人が多くの選択肢から、よりよい自分の人生を選択できる仕組みになっているのが今の「社会」です。

私の母は「資格は荷物にならないから」とよく言っていました。
勉強は学生時代だけにするのではありません。
むしろ職に就いてからの方がたくさん勉強するような気もします。

それが習慣化でき、前に進み続ける人間になる「根っこ」を若いうちから育むために、今勉強した方がいいのだと思います。

「智(知)」「仁」「勇」

智仁勇とは、中国の古典『中庸』に著される
「人として大切なこと3選」のこと。
原文を紹介すると、

(原文)
智仁勇三者天下之達徳也
(書き下し)
じんゆう三者さんしゃは、天下てんか達徳たつとくなり

「徳」=「人として大切なこと」ですから、「達徳」とは、徳の中の徳=「Best of 人として大切なこと」という意味になります。
さらに孔子の著した『論語』には、

(原文)
子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼
(書き下し)
のたまわく、知者ちしゃまどわず、仁者じんじゃうれえず、勇者ゆうしゃおそれず

ここで言う智(知)仁勇とは、

智(知)頭が良く理解力のあること
深く物事を読んで、適切な処理ができる能力
自他ともに優しく大切にできる、思いやりある心
「我も人なり、彼も人なり」の発想ができる
決断する時にはおそれることなくできる
行動力と決断力がある人のこと

そして「学校」は集団の中で、これらの能力を涵養するところです。
授業や行事を通して、人として大切なことを「勉強」する場なのです。
だから広い意味での「勉強」とは、授業で習うことばかりではなく「学校生活で体験すること全て」だと言えますね。
そして『中庸』にも『論語』にも「智(知)」が先頭に来ているのは、学習で培う能力を最重点に示す証でもあります。
智(知)仁勇の3つをバランス良く涵養できるよう、毎日を過ごしたいものです。

勉強をする意味(名言)

「なぜ勉強するのか?」という問いは昔からたくさんの人が感じてきた疑問であるとともに、多くの名言もあります。
そのどれもが「納得のできるもの」であり、特に若い人には触れてほしい内容です。

以降は、そんな名言を動画やテキストで紹介しましょう。

女王の教室

『女王の教室』は2005年のテレビドラマ。
天海祐希演じる小学校の担任(阿久津真矢)が、一見冷酷非道なクラス経営の中で、徐々に人として大切なことを子どもたちに教えていく、というドラマです。
私も毎週欠かさずに見ていました。

池上彰さん

ジャーナリストとして有名な池上彰さんは、勉強に関する著書も出版されています。
著書の内容をここに紹介することはできませんが、序文だけを引用してみなさんにお伝えします。

学びとは、決して人から盗まれることのない財産です
私は、学校の勉強は、実はそれほど好きではありませんでした。私が「学ぶことって楽しいな」と思えるようになったのは、大学を卒業して社会に出てからです。一度学びの楽しさを味わってからは、やみつきになりました。知らないことや新しいことに出合うとかえって好奇心が刺激され、もっと多くのことを学びたくなります。好奇心が満たされれば、大きな喜びにひたることができます。

池上彰著:なんのために学ぶのかより(原文のまま)

ごくせん

『ごくせん』は2002年~2008年まで3シリーズが放送されたドラマで、みなさんもご存じだと思います。
不良揃いのクラスを受け持った担任の山口久美子(通称ヤンクミ:仲間由紀恵)が、数々の生徒のピンチに立ち向かう物語。
そのワンシーンで、生徒がヤンクミに「どうして勉強するのか?」と問いかける場面があるんですね。
その時の一言が、

おまえたちが大人になって、
イヤなことから逃げない人間になるためやるんだ

と言ってました。

私も「なるほど~」っと思い、以降よく使わせてもらってたフレーズです。

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ドラゴン桜…など他の動画紹介

その他として、ドラゴン桜や、その他勉強する意味を説く動画をここに紹介しておきます。
どれも納得できるわかりやすい内容なので、ご覧ください。

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