【教育実習】教員免許状取得の最終関門_教職の魅力と厳しさを思い知る機会

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今日のテーマは「教育実習」
みなさんも、先生のタマゴが慣れない授業に四苦八苦する様子に接したことがあるでしょう。

教育実習は、教員免許を取得するために必修の「大学の授業」だってことを知ってますか?
大学1~3年生で教職に必要な単位を取得し、最後の現場実習科目なんですね。

実習を経験することで、生の現場を肌で感じ、さらに自分の適性を深く見つめます。
実習後に教職を諦める人もいれば、逆にやる気が出る人もいます。

私も実習に行きましたし、教員時代は多くの実習生に関わってきました。

今日は教育実習の流れや、実習中の生活、さらに教師に向く人向かない人を紹介します。
将来教職の道を考える人にはぜひ読んでほしい記事です。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

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教育実習とは

教育実習は、教員免許状を取得するのに必要な「最終現場実習」です。

実習期間は校種によって異なります。
小学校=4週間
中学校=3週間
高等学校=2週間
で、中高は同時に取得する場合どちらかに3週間実習すればよし、とされています。

実習は4年次の5~6月に行われるのが一般的で、教育学部に行くと、3年次の秋に小学校実習をして、4年次に中高に行くパターンが一般的です。

申し込みから実習まで

申し込み

申し込みは大学を通じて1年ほど前に行います。
実習の申し込みがあると、各校で検討して受け入れを諮り、無理な場合は断られる場合もあります。
教育実習は、実習生の母校に行くケースが多く、その理由は、頼みやすいのと、予め生徒の学力や気質を知って上で行う方がやりやすいからです。

もし人数等の都合で実習受け入れを断られたら、近隣校に問い合わせをしてみてください。
一般的に、進学校は実習希望者が多いので、断られることも多いです。
そういう時は、大学進学者が比較的少ない教育困難校に打診してみてください。
知らない高校に行くのは抵抗もあるはずですが、母校とは違う雰囲気や教育課題に向き合うのは貴重な経験になるはずです。

実習開始

実習校では、教科指導教員と担当クラス(担任)が決められています。
5月のオリエンテーションや指導教員と打ち合わせを経て実習に入ります。

第1週

朝早くから登校し、一日の流れを確認。
その後は分単位で、HR、授業、授業準備、反省会、部活動、生徒との交流、清掃指導、授業見学、実習日誌…とスケジュールが山盛りです。

中でも大変なのは授業です。
決められた時間で計画的に授業を進めるだけでも大変なのに、加えて生徒にわかりやすく、楽しい授業をするのは超人技なんですね(;´∀`)
もちろん最初はぶっつけ本番でできるはずはなく、50分をどう組み立てるか?という指導案(台本)づくりが大変です。

自分では「よし」と思った指導案が、指導教諭によって真っ赤っ赤に修正され、授業どころか台本すら仕上がらない序盤は、毎日が半泣き状態なんですね(;’∀’)

次は、やっと仕上がった指導案を手に、放課後の空き教室を借りて実習生同士で「模擬授業」をします。
生徒役の実習生からは、「その言い方がわかりにくい」「意味が分からない」「黒板の字が見えない」「声が聞こえにくい」…挙句の果てに「何が言いたいのかわからない」など、ボロカスに酷評されて練習が終わるんですね。
もうこの頃には、教師になる夢なんてどうでもよくなって、とにかく早くこの実習を終わりたい気持ちに駆られます。プライドや自信がズタズタに崩壊します。人知れず職員トイレで泣いてる実習生もたまにいますよ(;´∀`)

おまけに毎日「実習日誌」を書かなくちゃいけないんですね(;´∀`)
毎日の流れや感想など、びっしり書いて担当の先生に目を通してもらいます。

そして最初の土日は”泥のように”寝ます。
それだけ体力的にも精神的にもボロボロになるのが第1週です。

第2週

第2週も毎朝石のように重い身体に鞭打って実習校に通います。
生徒とキャピキャピの思い出作りなんて夢のまた夢で、、、
ホントは行きたくないんだけど、ここで辞めるのも癪なんで仕方なく続けてる感じです。

授業は2週目くらいから担当します。
これまで書きに書き直した指導案は、全部頭に入った状態です。
心臓バクバクで教壇に立つんですね。

最初の50分は、あっという間に終わり、指導案の半分くらいしか進まないことだってあります。
メンタルボロボロで授業は終わるんですが、生徒からもらった感想文に励まされます。

「先生が一生懸命だったので、私も寝ないで授業を受けました」
とか書いてあったりすると、うれしいんですね(笑)

まず生徒から「先生」って呼ばれることや、こんな下手な授業を寝ずに聞いてくれたことに感動して、ちょっとやる気が出てきたりします(^^;
この生徒に次は「わかりやすかったです」と言わせたくなって、授業後の反省会や指導案作りにも気合が入ります。

人間ってホントに単純ですね(^^;
でも長所を指摘されると、誰でもうれしいものですね。

第3週

最終週は、実習の総決算「研究授業」があります。

研究授業は、自分の授業を校長やゼミの先生など、多くの先生が見に来る大事なもの。
実習生はもちろん、たくさんの大人が見に来る研究授業は、受けてる生徒まで緊張してることが多いです。

研究授業が終わると、参観してくれたすべての先生を回って「授業の講評」をいただきます。
実習の終盤にもなるとあまりきついことは言われなくなります。
「いい先生を目指してね」と、これまでの苦労を労っていただき、
「あ~~~あの時辞めなくて良かった~~~」と思う瞬間。

最終日はHRで花束なんてもらって、涙々のフィナーレを迎えるのであります。

実習後

実習後は、すぐに教員採用試験が迫るのでのんびりできませんが、実習校の校長に宛ててお礼状を出すのをお忘れなく。

その後は実習校から「評価」が出ます。
A~Cなら合格、Dなら単位不認定です。
無断欠勤なく普通にやってれば、単位を落とすことはありません。

教師に向く人・向かない人

今はもう死語になりましたが、昔は「でもしか先生」がたくさんいました。
子どもの数が多く、景気も良かった時代は、企業への就職も引く手あまただったので、教師は人気の仕事ではありませんでした。

「でもしか先生」というのは、そんな時代に「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」という消極的なきっかけで教師になった人のことです。
ま、年代的にはもう引退されている方たちなのでご心配には及びません。

しかし、今も教員や実習生を見てると、教師に向く人・向かない人は確かにいます。
私自身も「教師向きじゃないな」と自覚することは何度かありました。
そんな私は、どこを見てそう思っていたのか?
完全な私見になりますが、以下に「教師に向く人」をまとめてみます。
「教師に向かない人」は、その逆だと考えてください。

教師に向く人

  • 生徒の前では胸を張って仕事ができる人
    褒める時は褒め、叱る時はビシッと叱る。自分の考えを自分の言葉で生徒の目を見て伝えることができる。話の中に「あ~」とか「え~」が少ない。
  • 多くの生徒を均等に扱える人
    えこひいきをしたり接し方に差をつけない。誰に対しても同じように接する。
  • 人の顔と名前を早く覚えることができる人
    なるべく早い時期に生徒の顔と名前を覚える。
    生徒に関心がないと、いつまで経っても名前を覚えない。
  • 聞く人や状況によって話し方や表情を変えることができる人
    生徒の性格や、その場の状況に応じて、適切な話し方や表情を作ることができる。役者のような一面を持っている。
  • 気持ちの切り替えが早い
    生徒を叱っても、指導が終わったら気持ちを切り替えて、いつまでも引きずらない。
  • 専門性に長けている人
    自分の専門に関しては一家言持ってるような人。教科書を批判できる精神も必要。教材に対して自分なりの切り込み方を持っている。
  • 人の痛みが理解できる人
    生徒や保護者、同僚の立場に立って、人の痛みや辛さに共感できる。またいいことは心から一緒になって喜べる。
  • 明るい人
    日頃から笑顔が多く、周囲を明るい雰囲気にすることができる。
  • 探究心旺盛な人
    知らないことやわからないことを諦めず、自身の探究心で追求する姿勢を持っている。
  • 柔軟性がある人
    状況に応じて適切な判断ができる。短絡的に物事を考えない。
  • 授業がうまい
    何といっても教師は「授業が命」。授業が下手では話にならない。今は下手でも、上手くなるための努力を忘れない。

ま、これ全部そろってる人なんて普通いませんから、必要以上に不安にはならないでね。

教師に向かない人へのアドバイス

教師に向かない人は、上表の反対です。
特に授業力は、教師のかなめですから、何より最優先にこれを鍛えましょう。

授業力は教育実習時から大体わかります。
だから授業力に自信のない人は、早くからうまい先生の授業をたくさん見てください。
細か~い「配慮」がそこら中にあります。
この配慮を、我々は授業の「仕掛け」といいます。

教育実習ではたくさんの先生の授業を参観するはずです。
しかし、先生ばかりを見ていてはいけません。
どこでどんな仕掛けをかけたか?は、生徒の表情を見てるとよくわかります。
授業参観では先生の言動とともに、主役である生徒の表情をよく観察するようにしてください。

指導案の重要性

私自身も過去に教育実習を経験しました。
私の場合、母校ではなく、中高一貫の付属校に配属されたので、超進学校ならではの苦労も味わいましたが、実習で何より鍛えられたのは「指導案」でした。

もちろん実際授業をしてみると、指導案通りにはなかなか進まないものです。
しかしなぜ指導案が大切かというと、その時間に生徒に何を教え、結果どうなって欲しいのか?なぜ今これを教えることが重要なのか?授業のどこに仕掛けを用意し盛り上がりを作るか?…など事前に構想して授業に臨むことで、次に繋がるものになるからです。

とにかくいい授業づくりに大切なのは、俗にいうPDCAサイクルを回していくことです。
指導案は最初の計画(Plan)にあたるものですから、これがなければ、実践(Do)も評価(Check)も、改善(Action)もないんですね。

特に実習中や新規採用時は、指導案をたくさん書いて、PDCAをどんどん回していきましょう。
これを欠かさない先生は、授業力がメキメキ上達しますよ。

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まとめ

最後に現実をいえば、たった2~3週間の教育実習で、授業が上手くなるわけでも、生徒指導がしっかりできるようになるわけでもありません。
正直言うと、学校にとって実習生は「お客様」であり、特に期待されている存在ではありません。
何に期待されてるかというと「とにかく生徒の足を引っ張らないでほしい」ということくらいです。
だから受験を控えた3年生のクラスや授業に入ることはまずありません。

車の運転も同じですが、実際揉まれて鍛えられるのは、教師として採用されてから以降です。
教育実習とは、学校の生の雰囲気をちょっとだけ試食しに行くような機会です。

この経験を通して「教師には向かない」と思えば、別の道を歩めばいいし、本当に魅力を感じる仕事だと思うなら、何年かかっても、講師をやりながらでも、採用試験を受け続けることです。

さすがに今は「でもしか先生」こそいませんが、ブラックと揶揄され志願者も減少し、本当に優秀な学生は教職をあえて避けることもあるそうです。

個人的には「人の人生を左右する」責任感の強い仕事であり、いつまでも若く元気な子どもたちを相手に人材育成をする仕事は、やはり魅力的だと思います。もちろんそれなりの困難も伴いますが、だからこそやりがいもある仕事だと思うのです。
年寄りがいつまでも居座っている社会に発展性はありません。
これからの教育現場を作っていくのは、みなさんのような若い人たちです。
ぜひ将来性豊かな人材として、国家百年の計と称される「教育」に携わっていただけることを心より祈念しております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、また次回、、、

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