【進路】早く決まるのがいいとは限らない_早期合格の功罪を解説

進路
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。

前回に引き続き、今日も進路の話をします。

まだ4月だというのに、専門学校のCMを目にします。
高校入試ではどんなに早くても年内に内定することはほぼありませんが、
専門学校に限っては、年内どころか、夏休みには内定出るところも多いんですね。

看護系を除くほとんどの専門学校は、エントリー=内定というのが一般的なので、
高3の6月上旬にエントリーすれば、もう内定となるのが現状です。

もちろんこの制度は、
少子化の中、少しでも早く学生を確保したい学校側と、
少しでも早く内定を得て安心したい受験生側の利害が一致する心理から生まれたもの。

しかし私の教員生活中には、6月早々に専門のエントリーを済ませ落ち着いた生徒のその後を見れば、
早く決まることへの功罪を強く感じていたのも事実です。

今日の記事はそんな私の経験から、早く決めることへの利点と弊害をお話しようと思います。

とにかく「早く進路を決めたい」と思っている高校生に目を通してほしい内容です。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

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進路が早く決まる功罪

今の制度では、専門学校は最速6月にエントリーを開始、その後の面接等を経て内定をもらい、その後正式に出願したら合格となるシステムです。

システム上は出願以降に受験料が必要で、かつ専願となります。
つまりエントリーや面接は何校受けても構いませんが、出願は1校に絞らなければいけません。

そう聞くといくつかのハードルはありますが、実態は、何校もエントリーする人はまずいませんし、エントリーしたらほぼ100%で合格に至るのが専門学校(看護系など一部を除く)の選考法だと思ってください。

早く決まるメリット

進路が早く決まるメリットは、
早く安心できる
ことです。

高校入試では3月まで自分の運命が不透明でドキドキした経験をしたはずですから、それと比較すると天国のようなシステムなんですね。

また、専門学校は高校や大学のように一斉入試をして定員を埋めることは基本しません。
学科によって定員は決まっていますが、6月のエントリーから日に日に合格者を出し、それが定員になり次第募集を打ち切る、というシステムになっています。

だから一部の人気校では、すぐに定員が埋まってしまうところもありますし、年中募集をかけている所もあります。

専門学校のオープンキャンパスでは、例年定員を満たすのはいつごろか?という”人気のバロメーター”を、必ず確認しておきましょう。

早期合格のデメリット

これはたくさんあります。

合格後は勉強しなくなる
早期に合格してしまったら、ほとんどの生徒は高校の勉強を止めてしまいます。やっても、卒業さえできたら、という消極的な姿勢になる生徒が多く、バイトや免許、卒業旅行の話題ばかり。進学後の勉強を進んでやる子はほとんどいませんね(-_-;)

出願後に気持ちが変わっても進路変更できない
特に「早く決めたい」という理由で飛びついた生徒や、オープンキャンパスでうまいこと言われてその気になった生徒などは、秋以降になって自分の選択に疑問を感じることがあります。この時点で相談されても、こちらは何もできないんですね、、、進路主任と校長に無理をお願いし、大人3人で学校まで頭を下げに出向いたこともあります。

まだ決まっていない周囲から冷ややかな目で見られる
早く決まった級友を、周りは羨望とともに冷ややかな目で見ます。心中は「楽して受かりやがって」「こっちの受験勉強を邪魔しないでくれ」という本音を聞くこともありました。

がんばっている周囲を羨ましく感じる
これは不思議な現象ですが、早く決まって緊張の糸が切れると、逆にまだがんばっている級友の姿が羨ましく見えることもあります。そして遅くまで頑張って高い目標を達成した友人と比較して落ち込んでしまうことも、、、

進学は完全買い手市場

専門学校は内定=出願=合格となり、定員になれば募集を締め切ります。
だから早く進路を決めたい高3生は、焦って6月早々にエントリーして内定をもらい、
後で後悔する生徒もいます。

とにかく進学に関していえば、今は完全な買い手市場で、いくつかの学校は近い将来経営不振に陥るところが出てくるでしょう。
そんな学校からすれば、喉から手が出るほど入学者が欲しい、というのが本音です。

だからなりふり構わず内定を出しまくるのです。

私の在職中にも、某四年制大学が「オープンキャンパス型」と称するAO入試を実施しており、
オーキャンに参加し、そこで願書を提出したら、数日後に合格通知が来る(-_-;)という乱暴な大学も目にしました。

そんな学校は、なりふり構わず「指定校推薦」を出します。
かなり遠くの聞いたこともない学校から複数人の募集が来る…(-_-;)

さらに受験料を免除するとか、入学金を半額免除するとか、
おいしいニンジンをたくさんぶら下げてくるんですね(;’∀’)

特に強い希望でもない場合、おいしい条件に目が眩み、安易に出願することは絶対にしないでください。

受験は団体戦

自分の将来がかかった進路選択ですから、気持ちが焦るのは仕方がないと思います。

…ですが、「早く決めたい」という気持ちが強すぎると、
たいてい失敗して、残るのは後悔ばかりです。
学校の先生がよく
「受験は団体戦」
というフレーズを使うのは、
焦る気持ちから思考が個人的になって、
先に書いたような悪影響を及ぼす結果となることをよく知っているからです。

早期の総合型選抜(AO)や、推薦入試で内定を得る生徒が増えてくると、
集団の緊張感は一気に低下します。

受かってしまえばこっちのもん、て感じで、
バイトや免許、卒業旅行の話に花が咲きます。

しかし、クラスにはまだ決まっていない生徒もいるわけです。
ただでさえ気持ちは焦るのに、こんな雰囲気の中で受験を頑張れるほど、
人は強くありません。

結局、意図せず誰かの足を引っ張ってしまってる、っていう…
これって、考えてみたら「人の人生変えてる」ってことですから、
すごい罪なことなんですね~(-_-;)

焦らなくても実は大丈夫

結論から言うと、
進路は遅くまで粘ったもん勝ち
だと思っています。
その理由を以下に書きます。

学力は入試当日まで上がり続けるから、時間をかけた方が高い学力が身に付くので、入学後の授業が楽

時間をかけて結論を出した分、納得の選択ができる

人気校ほど、学生の「青田買い」を行わない

(以下、専門学校のケース)
少子化の現代に、早期に定員が一杯になり募集を締め切る専門学校は、ほとんど無い
心配なら、オープンキャンパスで定員の充足状況を確認するとよい
なぜなら専門学校は大学受験に失敗して進路変更してくる生徒の受け皿も考えているはずだから

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まとめ_進学校は一般入試で勝負する

進学校と称される高校では、以上の理由から
一般入試以外の受験を基本的に推奨しません。
最後まで集団で学力向上と緊張感を保って受験に臨んでほしい、と願うのです。

国公立大学は一般的に、共通テスト→2次試験という流れであり、
合否は3月上旬までわかりません。
私立大学も2月の一般入試に多くの定員を用意している学校を中心に受験します。
部活を引退するのが6月ころですから、そこで進路を決める生徒と、
そこから夏休みや正月を犠牲にして受験勉強に励む生徒では、
その差は大きく開きます。

また長い人生の中で、ここまで自分を追い込んで自分を高める経験はそう何回もありません。

そんな経験を集団でやるから、受験に強い「進学校」と呼ばれるのです。
そして進学校の生徒は、このように
最後までやり抜くことの価値をよく知っているんですね。

また仮に指定校や総合選抜等で合格が内定しても、
安易にバイトや免許、卒業旅行などの話を持ち出さない理性もあります。

教員の私ですら、そんな生徒には「尊敬の念」を感じ、
心の底から応援してあげたくなりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、

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