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今日のテーマは【部活動】。
特に指導者や保護者に向けた内容になりますが、重い負担を感じる生徒にも読んで考えて欲しい内容です。
部活動は法律上「自主活動」扱いですが、その教育効果から、これを強制したり、本業である授業以上に過熱することが今問題になっています。
教員の負担も大きく、定額働かせ放題と揶揄される教員のブラック化の元凶とも言われ、様々な対策が考えられています。
しかし外部委託や地域移行を考える以前にできることは「ある!」と私は断じます。
私も部活大好き先生でしたが、無理はしませんでした。
それでも生徒は期待通りの活躍を見せてくれました。
そんな経験から、今日は部活動への所見を述べます。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。
部活動は「自主活動」
部活動は、学習指導要領に「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」もの、
とあり、授業や学校行事のように「これをやりなさい」とは一文も書いてないので、
実際には何ら強制力を持たない活動なんですね。
しかし部活の教育効果は絶大です。
特に思春期にある中高生の人格形成に大きな効果があるのは、誰もが認めるところでしょう。
部活で実績を上げた教員は尊敬の眼差しで見られ、校内や専門部での発言力も増します。
学校には横断幕やら懸垂幕やらが掲げられ、その実績を誇らしく社会に発信します。
部活の実績は、顧問の指導力であり、生徒の努力の賜物、というわけです。
もちろんこれは紛れもない事実です。
その一方で部活に苦しむ教師や生徒は少なくありません。
いくら自主活動でも部活動の顧問は原則全員に当たるし、人によっては2~3兼部する先生だって珍しくありません。
生徒にも「全員どこかの部に所属すること」と言って、加入を強制するのがほとんどです。(今は違うのかもしれませんが…)
そこに大きな矛盾を感じるから、生徒や先生方の気持ちは晴れないのです。
また教科指導には教員免許が必要ですが、部活顧問にはそういった資格は必要なく、
競技未経験で、ルールすら知らずにいきなり顧問になることだって珍しくありません。
それでも生徒の安全保障は厳しく求められ、これに多くの時間と手間を割くことから、部活動の外部委託や地域移行が進んでいるのです。
私の経験
保護者からの訴え
最初にも書いたように、私自身は「部活大好き」先生でした。
部活には授業では見られない「生徒の成長」や「濃密な人間関係」が築けるからです。
昔は「練習量がモノをいう」と、私も信じていました。
周りの先生方もそうだったからです。
私が部活指導に疑問を持ったきっかけは、ある部の考査前活動を「他は休みなのに、なぜうちの子の部は活動するのか?」と保護者から衝かれ、これが職員会議で話し合われたことです。こう衝かれた部顧問は「1週間も(練習を)休めない」と会議で意見しましたが、他の部活との整合性が取れない、という理由で、これは認められませんでした。
ここで感じたのは、私自身も「練習量がモノをいう」と信じていた「刷り込み」でした。
これは間違いではありませんが、果たして絶対的な練習量に比例するものなのか?
という疑問です。
生徒と教師の違い
もう一つの「刷り込み」は、
「練習を休むと忘れてしまう」
という思い込みです。
役者の世界では、
稽古を、
一日休むと自分にわかる
二日休むと演者にわかる
三日休むと観客にわかる
と言われます。
しかし役者の世界はプロの世界であり、生徒はアマチュアです。
また「高校生は忘れるのも早いけど、飲み込みも早い」
と気付いた時に私の思い込みは氷解しました。
私たち大人は「覚えるのは遅いけど、忘れるのは早い」んですね(;’∀’)
これらを混同して大人やプロの基準で絶対的な練習量を求めるのは「如何なものか?」と感じた瞬間があったんですね。
だから、
「部活の練習を休めない」と考えるのは、そんな大人の強迫観念です。
大人がこう考えるから、生徒達も「練習がしたい」と言うのです。
どうしても練習がしたければ、許される範囲で校外での自主練や、習いに行くなどの工夫をすればいいだけの話です。
部活動のあり方(提案)
以上より、私の経験からの結論を言えば、
- 部活は原則土日祝を休みにする
(土日祝の練習試合等…活動は、やっても月2回以内) - 平日の部活動は1日2時間を上限とする
- 定期考査1週間前は活動を完全に停止する
- 長期休暇中の練習は、1日4時間を上限にする
で、十分生徒には力がつきます。
私がこう考える根拠は、
- 本業の「授業」だって土日や長期休みにはやらないのに、なぜ部活だけはやるのか?
- 部活に求めるものは「結果」だけではないはず。
- 生徒は部活以外にも様々な役割を背負っている。
- 部活はプロ養成の場ではない。先述の役者の話と混同してはいけない。
しかし実現には高いハードルがある。だから…
法制化するしか解決法はありません。
例えば「受動喫煙」の防止を目的とする健康増進法のように、
生徒と教師の健康を考えて、自主活動である部活動への制限を法制化しなければ、解決しないと思います。
自主活動だから、自主的であれば何をやってもいいはずはありません。
自主活動なら、好きな時間に練習を切り上げて帰宅しても構わないはずです。
いつ入部して、いつ退部しても構わないはずです。
事実私は「辞めたければいつ辞めてもよい」「休む時は連絡を入れる」「活動中はいつ帰宅しても構わない」としていましたが、だからといって途中で帰る生徒や退部した生徒はほとんどいませんでした。
土日祝も休みにしていたし、テスト前とテスト中は部活を休みにしていましたが、それなりに成果は上げてくれたように感じています。
ただこの制度に変えた最初は、ものすごく不安でした。
しかし結果的にどの学校でも特に困ったことはありませんでした。
しかし学校現場には、部活で実績を上げている教師に発言力があり、実績を盾に語られると、周りは何も言えなくなるのが現実です。
また保護者がクレームをつけてきた時も、ほとんどの管理職はその場を丸く収めるために「検討する」とか「配慮する」など、曖昧にしか返せない実態もあります。
このように「強いものに巻かれやすい」学校現場において、声なき声を実現するには、国旗国歌法が制定された時のように「法制化」しなければ、永遠にこの議論が終わることはないでしょう。
ただし法制化には「部活顧問」が校務分掌と同じ扱いで義務付けられる必要があります。
さらに活動日数に応じた「部活動手当」を支給しなければなりません。
週休日の部活動に支給していた「特別勤務手当」をこちらに回せばいいと思います。
外部指導者・地域移行への私見
現行の制度で各校部活動に外部指導者を招聘していたら、
かなりの財源を費やすことになり、さらに人材確保や人材育成(研修)にも莫大な手間がかかることは目に見えて明らかです。何より希望する部活動へ公平に配置できない点に問題がありますし、教員の人事異動にも対応が難しい制度だ、とも思います。
パッと見は悪くない制度ですが、その場を取り繕うだけの安直な案ですね。
まさに「絵に描いた餅」です。
教員の免許更新制度同様、いずれ消えて無くなるでしょう。
そんなお金があるなら、法制度化して教員への「部活動手当」を支給すべきです。
ただ地域移行や外部指導者を私は否定しません。
高校生が放課後や休日に学習塾へ行くのと同じ感覚だと思うからです。
実際にサッカーのクラブチームやスイミングスクール、英会話や文化教室が市中にたくさんあることから、こういった形で生徒が自主的に参加する形ではだめなのでしょうか。むしろこちらの方が専門的に学べるような気もします。
授業料はかかりますが、部活動は無料という点が実は特別なんだ、と理解しなければなりません。その辺の共通理解を図るためにも、法制化は避けて通れない課題だと考えます。
まとめ
みなさんもご承知のように、部活動は非常に高い教育効果のある活動で、いくら法律的には自主活動といっても、これを学校から廃すべきではありません。
近年教育職は「ブラック」の代表のように叫ばれて、少子化とともに志願者も減少する一方です。
子ども一人を育てるのに昔とは比較にならない教育費がかかる現代は、女性の社会進出とともに学校に求められることが多様化し、これが先生の多忙化にも拍車をかけています。
給特法の改正は当然ですが、仮にこれを無くすと、年間1兆円近くの人件費が必要になる、との試算もあります。
…ですが、学校ブラック化の一因でもある部活動は、まだ改善の余地があると思います。
とにかく何でも押しつけられて多忙化を極める学校から、何かを「引き算」する発想がないと、現場の先生方は本当に病んでしまいます。
「教育は国家百年の大計」というのは、人材育成の大切さを説く名言です。
私が在職した30年間でも、現場は大きく変わりました。
しかし、教育の重要性は全く変わらないどころか、より重みを増している感もあります。
ぜひ最前線の先生方が活力ある仕事ができますよう、私は私なりにブログ執筆を通して応援していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、また次回、、、
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