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今日は「教師の給料」について差し障りのないところを記事にします。
学校の教員は「教員免許状」が必要です。
つまり医者や弁護士のような資格仕事なんですね。
世の中教師に限らず、資格の必要な仕事は概ね高給です。
…ですが、教員の給料は一般的に「安い」と言われることが多く、
定額働かせ放題
と揶揄される給与体系が問題視されています。
ここでやり玉に上がるのが、
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」
略して「給特法」です。
給特法とは
給特法とは簡単に言うと、
「公立学校の教員は、その勤務の特殊性から残業手当や休日手当を支給しない代わりに、
一律4%の教職調整額を支払う」
という法律。
つまり基本給が30万円なら、1万2千円の教職調整額が、定額の残業代として最初から支給されるわけです。
この法律(給特法)ができた1972年、教員の残業は平均月7時間程度と言われており、
これを根拠に4%という調整額が設定されたそうです。
それから半世紀、教員の残業時間は今や7時間どころではありませんからね…(-_-;)
ちなみに私の在職中は、
出勤~退勤まで平均12時間くらい。
そこから休憩45分を引くと、勤務は11時間15分くらい。
(実際には45分なんて休んでないけど^^;)
そこから標準勤務時間7時間45分を引くと、毎日3時間30分の残業をしていた計算になります。
1か月の勤務は約20日間ですから、月平均70時間程度の残業をしていた計算になります。
これでも7時間分しか出ないんですね(;’∀’)
教員の給与システム
一般企業の中には「みなし残業手当」という制度を持つ会社もあります。
例えば「みなし残業手当は月〇〇円。残業△時間分とし、これを超えた分は別途支給」
といった規定が雇用契約に書かれています。
これは、仮に残業が月△時間以内でも全額支給される手当ですが、普通に考えれば、
「定期的に月△時間以上の残業」がある前提⇒結構ブラック
という意味ですから、給与額だけで仕事を選んではいけません。
だから、給特法は「月7時間のみなし残業手当を給与の4%とする(しかも超過分の別途支給なし)」という制度です(-_-;)
私が大学を卒業し採用された30年以上前の初任給は13万円ほどだったかな?
今は大卒で20万円ちょっとくらいだと思います。
ここに通勤手当や教職調整額(4%)、地域手当、扶養手当、特殊勤務手当…
など様々な手当が付いて総支給額が決まります。
主任には主任手当、管路職には管理職手当も付きます。
総支給額から税金や社会保険料等などが控除されて、
手取り額となりますが、これはどの職種でもサラリーマンなら同じシステムですね。
また公立学校の教員は「雇用保険」には加入しません。
雇用保険とは失職時にその収入を保障するための保険ですから、
公務員である公立学校教員は、原則失職しない、という前提であり、また退職をしても、
これを退職金で補う、という考え方です。
仮に病気で休職しても、2年(だったかな?)までは、これが認められているし、
産休や育休の制度も手厚いものがあります。
さらに賞与も夏・冬と各々2か月分以上あり、民間のように景気に大きく左右されることはありません。
だから教員は給特法による縛りはあれど、一般的に見れば、福利厚生面や退職金など、今もかなり恵まれた職種であることには違いありません。
昇給は原則年に1回。年齢を重ねていけば、自動的に基本給(号給)が上がります。
一般企業のような能力給やインセンティブは原則ありませんが、近年は職員評価システムも導入されるようになりました。賞与や昇給に影響する人事評価制度です。
教員はぬるま湯?
現職時「教員はぬるま湯」と言われる理由がよくわかりませんでしたが、退職した今はその恩恵を強く感じますね。
責任の重い仕事であることは事実ですが、皆が同じようにその恩恵を受け、自動昇給する年功序列のシステムはもう時代遅れだと思います。
教員の仕事を客観的に「査定」するのは非常に難しい問題です。何をもって仕事ができる?できないか?の判断が一律ではなく、数値化も困難であるからです。
しかし頑張っている先生はたくさんいらっしゃいますし、その逆もまた然りです。ベテランの先生より若い先生の方がよっぽどいい仕事をしている、と感じることも珍しくありません。
教育委員会もこの問題には頭を悩ませているはずだと思います。
仕事の質に見合った適切な報酬を担保することが、質の高い教員を育む大きな要因になるはずです。
だから個人的には、
若い時代の給与をもっと上げて、昇給を抑える代わりに、賞与でその成果を評価するシステムができたらいいな、と個人的には思ったりもするのです。
成果を評価するシステムってどうやって??
当然、誰もが納得できる方法はありませんね、、、
教員の給料は、原則年功序列で昇給していきますが、
現状このシステムは、仕事の経験年数に給与を支払っているようなもの…で、
その内容や過程、成果などで決まったものではない、といえるのです。
ゆえに世間では「ぬるま湯」だと言われる(言われた?)んですね。
リーマン教師
だから現状を言えば、
本当にがんばってる先生と、(サラ)リーマン教師に分かれます。
リーマン教師とは、定時に出勤し、最低限の仕事はこなし、
残業も極力しない人のことです。
それでも教諭であればクビや減給にはならないのです。
これまで見てきた先生の中では、
授業毎に行う小テストの”勉強”と称して、
最初の15分を与え、その後10分でテスト、解答を生徒にさせて回収、
残りの時間で「授業」を行う、という先生もいました。(;´д`)
これでは授業の半分以上が、小テストのためだけに使われてしまうんですね…
しかし、これでも授業を1時間やったことになりますが、
クラスの平均点はダントツに低く、小テストの勉強と称する時間は、ほぼ生徒の雑談タイムでした。
一方、50分の授業に全精力を傾注し、一瞬たりとも油断する隙すら与えない神授業をされる先生もいらっしゃいました。
授業を見ても、生徒の食いつきや目つきが違うんですね~~
授業の上手い先生は、難しい内容も、簡単な言葉で説明されるので、
理解がより深まるとともに、学問の面白さに引き込まれていくんですね。
教員の評価って
さて話は逸れましたが、
例えば「授業の上手下手」でも、これが給与の査定に直結する、となると、
これだけでも評価は難しいです。
一番客観的なのは、生徒に授業アンケートをとって、これを数値化することですが、
しかしこれだけが教師の査定ではありません。
授業がうまい=平均点が高い…とも限らないし、
進学校と教育困難校でも求められる教師の資質は異なります。
もちろん偏差値や平均点が高く出る授業だけがいい授業でもありません。
その科目を「好きにさせる」授業、、、といってもこの尺度を測ることも困難です。
さらに教師は教科指導のみならず、
生徒指導や進路指導、さらに”心”の問題に向き合ったり、部活動、校務運営、課外活動…
など、様々な場面でその力を求められる仕事ですから、
このすべてを単純に数値化できない職種でもあるのです。
自己目標
私が現職時代には
「目標設定シート」を年度初めに提出し、
そこに授業や校務分掌、部活動等の目標を立て、
年度途中と年度末に、その目標がどれだけ達成できたか?
を可能な資料を添付して報告し、自己評価にしていました。
これを管理職が確認し、個人面談などを経て、
管理職評価が決まり、ほんの少~~しだけ賞与と昇給に反映される仕組みとなっていました。
しかし私はこの評価方法にずっと疑問を感じていました。
それなら、
最初から低めの目標設定をしておいて、
それが実現できた!
なんてこともできるんだから、
「全国大会出場」なんて高い目標を設定しにくくなるのでは?
という懸念があったからです。
もちろん管理職だって馬鹿じゃありませんから、
それくらいはお見通しでしょうけれど、
言ったって、管理職も人の子ですから、
好き嫌いや、自身の方針に合う合わないだってあるはずです。
だから人事評価には反対だ、という先生も多かったように思いますが、
評価しないならしないで、また別の問題が出てきますね。
人の評価は、いつどこの世界でも難しいものです。
ま、教員って本来それ(生徒の評価)をする仕事なんですがね…(;’∀’)
まとめ(批判するのは簡単だけど…)
卒業式は生徒の素直な評価の場でもある
私は長く教員をやってきた経験から、力のある先生と、おそらく教員には向いていない先生があることを認めます。
また、いくら教員として力のある先生でも、常に熱意を持ち続けている方から、リーマン教師まで多様です。
教員の仕事は、メインである教科指導以外にも多岐に渡りますし、生徒と保護者の評価が違うケースも見られます。進学校に向く先生もいれば、その逆もあります。
これは学校評価アンケートや実際の声からも明らかです。
そんな様々な要因がある中で「客観的な評価」を下すのは現実不可能です。
批判をするのは簡単ですが、客観性を担保できる正当な評価法を見出すのはとても難しいのです。
しかし、学校の主役は「生徒」であり、その生徒たちが、教師をどう見ていたか?
その一番素直な気持ちが表れるのが「卒業式」です。
特に担任をすると、卒業式に生徒がどんな対応をしてくれるか?
「今回は絶対に花束なんてくれないだろうな、、、あれだけ生徒叱ったからな、、、」
と諦めてた年に大きな花束をくれた時もありました。
「先生は僕たちに怒ってばかりだったけど、先生はいつも正しいことを言ってくれてた、、、僕たちを見捨てなかった、、、ごめんなさい、、ありがとうございました」
聞く耳持たない生徒ばかりだな~と思っていても、そんな風に捉えていたとは思わなかったり…
生徒達最後のリップサービスだったかもしれませんが、素直にうれしかったです。
普段は残業だらけで大変な仕事ですけど、卒業式は自分の苦労が報われる瞬間です。
今も時々思い出しては、
「いい仕事させてもらってたな…」
と感慨ばかりです。
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