【バイト】【バイク】16歳以上でも高校で禁止のところが多い理由は?

危機管理
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今日のテーマは【バイト】【免許】です。
高校生になったらアルバイトできるから、働いて小遣い稼ぎって思っている人もたくさんいることでしょう。

しかし多くの高校では「バイト禁止」または「届け出制」となっているのが現状です。

また、バイト以外にも、二輪車の免許が取れるのは16歳以上なので、免許を取りたいと思っている人もいるはずですが、
これも多くの学校では「禁止」されているはずです。

どうして法律的にはできることを、学校は「ダメだ」と言うのでしょうか?

私は生徒指導に関わってきた経験から、そのあたりの”学校の事情”や”禁止の背景”があることを知っていますので、今日はそんな話を中心に記事を執筆します。

もちろんバイトは社会勉強という大切な学びの場であることや、得られた収入でスマホ代や進学費用に充てる人がいることも知っています。
さらに個人的には、学校とともにそんな学びも大切だと思う立場です。

しかし結論をいえば「生徒を守るため」に制定されたルールですが、その辺の経緯も、私の知る範囲でお伝えしようと思います。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

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バイトと二輪に関する法律を知ろう

労働基準法

高校生のアルバイトは労働基準法にその規定が定められています。
第56条を簡単にいうと「中3の3/31までは✖」という意味。
高校生になる4月1日から仕事をしてもいいんですね。

(第56条)
使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。

13歳以上の特例

しかしこの規定には例外があります。
非工業業種とは、商業、映画、演劇、通信、教育研究、保健衛生、接客娯楽、清掃などの仕事を指し、下の1~4の条件をすべて満たしていれば、13歳以上なら就業可能という規定があります。

(第56条2項)
非工業的業種に限り、
1.健康及び福祉に有害でないこと
2.労働が軽易であること
3.修学時間外に使用すること
4.所轄労働基準監督署長の許可を得ること

13歳未満の特例

さらに13歳未満でも、映画または演劇の事業に限り、下の条件で就業が可能なんですね。
子役がこれに該当します。

(第56条2項)
映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様(上記1~4)とする。

深夜労働等の禁止

また高校生には深夜労働や、それ以外についても就業できない条件が細かく定められています。
特にアルバイトを考えている人は、これを知っておく必要があります。

(第61条1項)
使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。

・ 重量物の取扱い業務
・ 運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
・ ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転又は取扱いの業務
・ 深さが5メートル以上の地穴又は土砂崩壊のおそれのある場所における業務
・ 高さが5メートル以上で墜落のおそれのある場所における業務
・ 足場の組立等の業務
・ 大型丸のこ盤又は大型帯のこ盤に木材を送給する業務
・ 感電の危険性が高い業務
・ 有害物又は危険物を取り扱う業務
・ 著しくじんあい等を飛散する場所、又は有害物のガス、蒸気若しくは粉じん等を飛散する場所又は有害放射線にさらされる場所における業務
・ 著しく高温若しくは低温な場所又は異常気圧の場所における業務
・ 酒席に侍する業務
・ 特殊の遊興的接客業(バー、キャバレー、クラブ等)における業務
・ 坑内における労働 等

その他、高校生で知るべき法律として、
最低賃金が定められていたり、
給与の受け取りは代理人にはできない=本人がするもの、という定めもあります。

最低賃金は地域によって多少の違いがありますから、お住まいの地域の最低賃金は調べておく方がいいですね。

地域別最低賃金の全国一覧

道路交通法

運転免許の取得に関しては、道路交通法に次のような記載があります。

(免許の欠格事由)
第八十八条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、第一種免許又は第二種免許を与えない。
一 大型免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、中型免許にあっては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、普通免許、大型特殊免許、大型二輪免許及び牽引免許にあつては十八歳に、普通二輪免許、小型特殊免許及び原付免許にあつては十六歳に、それぞれ満たない者

長ったらしい言い回しですが、簡単にいうと「16歳になったら普通二輪、小型特殊、原付免許は取得できますよ」という意味です。
普通二輪とは、排気量が50~400ccの二輪車を指し、小型特殊とはフォークリフトやトラクター等の特殊自動車のこと。原付は排気量50cc未満の二輪車のことです。

さらに「普通、大型特殊、大型二輪、牽引の免許は、18歳以上でないと取れませんよ」ともあり、この先には「普通免許も18歳以上しか取得できない」という記載もあります。

法律では認められてるのに…

高校生のジレンマに、法律では認められているバイトや免許取得を、
なぜ学校では禁止するのか?
ということですよね。

その気持ちは最もであり、私も高校時代には疑問に感じていたことです。

バイトが禁止の理由

アルバイトはすべての学校で禁止していませんが、手放しで認めているところも少ないでしょう。
だから当然ですが、アルバイトはみなさんの学校の規定に従ってくださいね。

ちなみに高校でバイトを禁止する理由は次のようなものです。

働いた分だけ給料がもらえるので、やっても金にならない勉強が疎かになるから

高校生にはかなりの大金を得られるので、金遣いが荒くなるから

・社会経験の少ない高校生を、大人がいいようにコントロールできるから
  安い給料で使える
  悪い誘惑に騙されやすい
  就学時間や深夜に就労させる

働いた分だけ給料がもらえるので、やっても金にならない勉強が疎かになるから

一番の理由はこれです。

高校生に限らず、人は「目先の快楽」を求めるもの。
例えばダイエットのように、結果がすぐに出ないものはなかなか継続が難しいですね。
しかし自分の好きなスイーツは、すぐに快楽を得られます。

これを勉強とバイトに置き換えると、結果が出るまで長い時間と努力を要する勉強をがんばるより、週1のバイトで月2万円の小遣いが手に入る方が、はるかに合理的だと感じるのです。
目に見える実利と、目には見えない将来への投資。どちらを大切にしますか?という天秤にかけている状態だといえますね。

また「1円にもならない勉強をがんばるより1日も早く社会に出て稼ぎたい」
という理由で、就職を希望する生徒がたまにいますが、目先の実利だけを求めると、勉強がバカらしくなってこういう発想になってしまうんですね。

この発想にも一理ありますが、それを差し置いて今勉強をするのには、ちゃんとした理由があるのです。詳しくは私の過去記事も参照してください。

高校生にはかなりの大金を得られるので、金遣いが荒くなるから

バイトをしない高校生が、保護者からもらう小遣いは5,000円くらいが平均です。
私の子も高校時代は月5,000円でした。

しかしバイトでは、これを軽く超える給料が手に入ります。
高校生のバイトは地域にもよりますが、時給900~1,000円程度。
仮に日曜日だけ1日6時間働いても、月に2万円ほどの収入になりますが、
これをすべて小遣いにするとかなりの贅沢ができ、5,000円の小遣いをもらってる友だちとはお金の使い方が明らかに違ってきます。
そうなると、
お金の使い方の価値観が違い過ぎて、お互いに付き合いにくくなります。

そして中には月10万円以上稼ぐ高校生だっていますが、多くの高校生はバイト代で自分のスマホ代を払ったり、将来の進学費用に貯めている人がほとんど、、、だと信じたい。

しかしこれをすべて小遣いにする高校生は、大人でも持たないブランド品を身に付け、推し活に何万円もの出費を惜しみません。
「そのためにバイトしてる」
という声も聞いたことがありますが、老婆心ながら「もうちょっと勉強もした方がいいんじゃない??」とか「もうちょっと違うことにも使えば??」と思うこともありました(;´∀`)

大人になって現実月3万ほどの小遣いでやっていけんのかな~??って心配になってしまいます。
お金はいくら稼ぐか?も大事ですが、それ以上に「どう使うか?」の方が大切だと思います。

今は家庭科で投資の勉強もする時代ですから、そんな資産形成にバイト代を使うのもありだと思います。

社会経験の少ない高校生を、大人がいいようにコントロールできるから

これも高校生のトラブルでよく耳にします。

先ほど紹介した法律は高校生を守り就学を優先させるためにありますが、
中には「こんな法律なんて知らないだろう」と、
安い給料で雇ったり、
深夜時間や就学時間に労働を強いたり、

する事例もありました。

また高校生より大人である上司や先輩からセクハラやパワハラを受けたり、個人的に誘われて飲酒や喫煙を強要されたり、性被害に遭うケースだってあります。

とにかく社会経験未熟な高校生がうまく操られて、痛い目に遭うことが少なくありません。

そんな被害に遭っても、相手が先輩や上司だったらなかなか被害を言い出せず、泣き寝入りするケースだって珍しくないんですが、自分が「イヤだな」と思ったら必ず、友だちや親、学校の先生に必ず相談してください。
場合によっては警察を絡めて問題解決する方がいい場合だってありますから、くれぐれも「自分一人で抱え込まないこと」が大切です。

以上のようなトラブル等を未然に防ぐため、バイトを禁止する学校が多いことを理解してくださいね。

三ない運動

一方で二輪の免許を禁止するに至った経緯は少し違います。

元は昭和57年(1982)に、それまで高校生による二輪の死傷事故が多発したことを受け、全国高等学校PTA連合会(高P連)が制定した「免許を取らせない」「(バイクを)買わせない」「運転させない」という3つのスローガン(三ない運動)のこと。

そしてこれを受けた全国の高校で「二輪車の免許取得」を禁止する校則が生まれたのです。
高校生に二輪の免許取得を禁止する流れは、学校ではなくPTAから派生したものだ、という点が特殊なのです。

三ない運動はその後、「車に乗せてもらわない」を加えた「四ない運動」や、さらに「親は子供の要求に負けない」を加えた「四プラスいちない運動」となり、長く高校現場の常識となっていましたが、今では地域による実情等も考慮したものに変化しています。

これはただ禁止するのではなく、スマホの使い方を正しく教育して適切な利用ができるようにするのと同じ感覚であり、さらにバイク通学が地域の状況で必要なケースもあることから、少しずつ見直されてきた、という経緯によるものです。

さらに時代の変遷による変化もあります。
三ない運動が盛んだった昭和~平成時代は、暴走族をはじめとするバイクへの憧れが今とは比べものにならないほど強く、夏の夜には街中を大音量のバイクが暴走していた時代でした。
尾崎豊の「盗んだバイクで走り出すー♪」と歌ったのが、時代を象徴しているのです。

しかし今そんなバイクを見かけることは少なくなりました。
たま~に、冬の寒い夜に暴走音が聞こえてくると、
「まだいたんだ~ 寒いのにごくろーさん」
って感じで、誰も相手にしない、、、
…今はそんな時代になりました。

しかしバイクの危険性は今も昔も変わりません。
多くの高校が今も免許取得やバイクに乗ることを禁止するのは、その危険性によるものです。
そして今は、自転車にもヘルメットの着用が(努力とはいえ)義務化されたことから考えても、
ただ禁止するだけでなく、どうしたら自分の身を守ることができるか?をしっかり教育することが求められる時代になったといえるでしょう。

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まとめ_いつ問題か? 誰にとって問題か?

法律や校則は何のためにあるのか?というと、
不自由を強いるためではなく「人を守るため」にあります。

しかし単に「バイト禁止(制限)」と言われたら、
「なぜ禁止なの?」とか「誰にも迷惑はかけていない」と思うはずです。

記事内にも書きましたが、
人は「今の快楽」を求めるもの。
それと同じく人は「今の問題」を何とか解消するためにそれを最優先に考えるものです。

…ですが、バイトもバイクも、禁止のわけは今よりも未来にあるんですね。
さらに誰にとって問題化というと、他人ではなく自分そのものなんですね。

そういった意味で、まだ若い高校生のみなさんには「今が大丈夫で、誰にも迷惑をかけない」ことを何故禁止(制限)するのか?という疑問が生じるのも無理はありません。

しかしそれなりに長く生きていると、高校時代に勉強する意味がよくわかるようになります。
私も含めて「もっと勉強しておけばよかった」と後悔する大人はたくさんいることがこれを物語っています。
それは大人になってから、勉強することの価値がわかるからです。

そして同様にバイトやバイクを禁止(制限)する理由は、将来的に困ることがあるからです。
働くことはいくつになってもできますが、高校の勉強は今でしかできません。
バイクで事故を起こしたら、将来的に困るのは自分ですし、時には加害者となる場合だってあります。
もちろんそのためにバイク保険に入るのは当然ですが、これを親の金で払ってもらうようではいけませんし、それが大人の「責任」というものです。

高校生はまだ未成年ですから「守られる立場」にある存在です。
そんな高校生を守るためにこのようなルールがあります。
法律では許されていることも、以上の背景から制限や禁止されている事情を理解し、今しかできない勉強や部活動、人間関係構築に尽力してください。

一方でバイトで得られる「学び」を否定するものではありません。
商業科では逆にバイトを推奨するところもありますが、これは就職を前提とした課程ならではの考え方ですし、通信制や定時制は、仕事のすきま時間に高校教育を受けるための制度です。

今日の記事は主に「禁止の理由」を中心に書きましたが、現実的にはみなさんの学校のルールや実情に沿って適切な行動をお願いします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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