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11月は学校推薦型入試のピークを迎えます。
高3生は、今月最初の勝負という人も多いことと思います。
さてそんな入試も、出願時はいろいろな書類を揃えますが、
その中のひとつに、学校からもらう【調査書】があります。
調査書は就職進学に関わらず、進路先に提出する必須書類です。
しかし調査書をもらっても、
封筒に厳封されて渡されるので、みなさんが中身を見ることはできませんよね。
そして見られないとなると余計に気になるんですね(;’∀’)
中身は何が書いてあるんだろう??
と不安にもなりますよね。
厳封された調査書を開封すると「無効」になるので、
絶対にやっちゃいけませんが、
文部科学省のHPには、その様式が公開されており、
これは全国共通の書式です。
以下に転載しますので、よ~くご覧ください。
こんなことが書いてある書類です。(実物は表裏の1枚です)
↑を見ると、かなり細かい情報が詰め込まれていることがわかります。
今日は、この調査書がどう利用されているか?
や、
どこに留意して高校生活を過ごせばいいか?
…等を私の知る範囲でお伝えします。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。
調査書には何が書いてあるか?
調査書は大きく分けて、次の事項が記されています。
- 個人情報(住所・氏名・性別・生年月日・在籍校・入学年月日・卒業または卒業見込み年月情報…など)
- 成績(5段階評定・取得単位数・評定平均値・成績段階別人数)
- 総合学習や特別活動(クラス役員や委員会)の記録と評価
- 学習・行動・部活動・取得資格・表彰…等の記録
- 出欠の記録
- 校長名と作成者情報
個人情報
これはいくらがんばっても変わらない、
みなさんの個人情報欄。
ここでしっかり見られるのは、
願書にある情報と相違ないか?
と、卒業または卒業見込みの欄です。
大学等は出願条件に「高等学校卒業」または「卒業見込み」の者
とあるからです。
成績
成績は、高校3年間の”評定”が全て記されます。
評価と評定については、私の過去記事も参照してください。
推薦や総合型(AO)を受験する人の調査書は、高1+高2+高3の1学期の評定が記されます。
高3の1学期が超重要だ、と書いた記事もあるので、そっちも読んでくださいね。
そしてこの評定すべての平均点(小数点第2位を四捨五入)を
”評定平均値”といい、
調査書ではおそらく最重要の情報になります。
また調査書には”教科”と”科目”という語が出てきます。
パッと見よく似た意味合いですが、
国語や数学、理科といった大分類を「教科」といい、
理科なら、その中に生物や物理…という小分類で括られるのが「科目」です。
その他、成績段階別人数が入ります。
これは、あなたの学年全体でA(4.3以上)~B・C・D~E(1.8以下)が段階別に何人いるか、
という情報が書いてあります。
知識として知っておいてください。
総合学習や特別活動(クラス役員や委員会)の記録
総合学習や特別活動は、必履修ですが評定が付かないので、
履修した事実とともに”評価”を記すことになっています。
ま、ここは現実あまり重要視されません。
総合学習は、高校によりずいぶん違うし、客観的な評価が難しい項目だからです。
生徒会長くらいなら、推薦入試で少々有利に働くかも?しれませんが、
図書委員とか学園祭の衣装係なんて書いてあっても、
それが進路面で有利になることは、、、おそらくありえないでしょう。
総合や特活もちゃんとやりましたよ、を証明する程度の項目です。
履修と修得の違いは以下も併せて参照してください。
学習・行動・部活動・取得資格・表彰…等の記録
ここは人によっては大事な部分です。
どんな人に重要か?は、後述します。
学習や行動の記録には、原則悪いことは書きません。
進路で不利になることはあまり書かないからですが、
「時に集中力を欠くこともあったが…」なんて書き方をされたら、
かなりひどい、、、(;’∀’)
と言ってるようなもんですwww
この欄で重要なのは部活動、ボランティア活動や表彰歴、資格など客観的な情報です。
資格には書けるものと書けないものがあります。
公的資格(漢検・英検…)なら2級以上かな?
”公的”とは文科省が後援しているよう検定で、
近所の書道塾でとった書道○段なんてのは、調査書に書くことはできません。
さらに部活動は在籍期間や実績に基準があります。
幽霊部員では活動したことにならないし、地区大会1回戦負けでは実績になりません。
年度通して活動し、ベスト○○などの明らかな実績がある場合しか書いてもらえません。
またこれを証するための賞状、新聞記事や大会プログラム等があれば、必ず保管しておきましょう。
入試では出願時にそのコピーを添付しなければならないこともあるからです。
そして、ここに何も書くことが無ければ、
「特記事項なし」
と書くんですね。
これではちょっとさびしい、、、ですよね。
さらにその下”備考欄”には、
3年次の記録は1学期末時点のものである
と記入され、これがまだ学年途中の記録である旨が記されます。
出欠の記録
この欄は、入学時からの出欠の記録が書かれています。
学校の出欠は、単に出席と欠席をカウントするだけではなく、
出席停止、忌引、公欠…など多様な分類があるので、
詳しくは過去記事を参照してください。
出欠の記録は、履修修得に関連するだけではなく、
進路にも大きく影響する場合があります。
特に指定校推薦では、推薦要件に出欠のハードルが設けられていたり、学校斡旋就職では欠席の多い生徒は確実に不利となります。
また年間○日(数字は守秘義務)以上欠席した生徒は、備考欄にその理由を書きます。
これは不慮の事故や病欠等で、欠席数が不利にならないための配慮ですが、
不登校や怠学の場合は原則”体調不良による欠席○日”と記入します。
こう書いてあったら「あ~この子は不登校か怠学傾向なんだな」と察しがつくわけです。
さらに出席停止欄に0以外の数字が入っても、その理由が備考欄に記入されます。
”祖父死去による忌引3日”
”新型コロナ感染症による出席停止7日”
”問題行動による停学10日”
…などと記入されます。
校長名と作成者情報
調査書の最後には、
学校名・校長名・発行年月日・作成者(担任)の職名と氏名が入ります。
調査書の発行
発行届が出されたら、これを回議して最終的に公印と担任印、契印が押され、封筒に厳封されて発行される仕組みです。
封筒を開封したら書類は”無効”になります。
出願時は、厳封されたままの状態で提出しましょう。
なお、調査書の発行には、以上の手間と時間が必要です。
発行は早めに依頼し、余裕をもって出願準備ができるようお願いします。
また調査書の発行は、高3生は無料でも、卒業生は手数料(1通=500~600円程度)が必要です。
浪人生は最低2回(発行依頼と受け取りのため)母校に足を運ぶ必要があるので、
併願校も含め早めに受験計画を立て、一度に必要な枚数を発行してもらうようにした方が楽チンですよ。
どこでどう使われているか?
調査書のどこをどう利用するか?
は、進路先や入試方法によってまちまちです。
大前提として、願書等に書かれた個人情報と合致しているか?という点を確認しますが、それ以外は以下が注視されます。
学校斡旋就職就職
学校斡旋就職では成績とともに、出欠の記録が見られます。
成績を見るのは、一般常識があるかどうか?
簡単な漢字や計算もできなければ役に立たないからです。
さらに仕事をする上で、欠席等の多い人は雇いたくありませんからね。
また職種によっては、実績や取得資格も重視されます。
事務職なら簿記やMOS資格(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)があると有利です。
体力を使う仕事なら運動部での実績は有利に働くと思います。
取得資格によって配属先が決まることもあります。
指定校推薦
指定校推薦では、その推薦基準に合致した受験生であるか?
が確認されます。
評定平均値や出欠は重要です。
学校推薦型選抜
推薦要件に係るすべての事項が確認されます。
卒業見込みや評定平均値、実績や資格により加点される場合は、その旨の記載に加え、賞状や新聞記事、大会パンフレットなどの写しを添付する場合もあります。
日頃より、eーポートフォリオへの記録をまめに行っておきましょう。
また評定平均値が合否判定用に数値化される大学もあります。
多くは、評定平均値×10=50点満点とし、入試得点に加算されるパターンが多いようです。
一般入試
一般入試では調査書は重要視せず、入試当日の得点で合否が決まります。
それでも調査書の提出を義務付けるのは、願書との照合や、本当に高校を既卒または卒業見込みがある受験生なのか?を確認するためです。
そのため、推薦等で不合格となった受験生が一般入試でリベンジする場合は、出願時に調査書の提出を免除されるところもあります。
進路・入試別 調査書対策
以上から、進路別・入試別に調査書対応を考えましょう。
就職希望の人は、
成績と出欠と資格
が特に重要です。
推薦入試を受験しようと思っている人は、
成績と(選考方法によっては)実績や資格
を充実させましょう。
特技(一芸)入試やスポーツ推薦、また資格や実績を点数化する入試を考えている人は、
学習・行動・部活動・取得資格・表彰…等の記録が特に重要になります。
一般入試を狙う人は、
調査書の内容より、入試本番で点数を取ること
を目標にしてください。
…とはいえ、
それ以外がどうでもいいことはなく、
高校生活は、学習面、生活面等にバランスよく取り組むのが大切で、
調査書を有利にするための時間ではありません。
調査書に記載されない「あなた自身の根」を張ることが最重要です。
進路決定に「対策」は大切ですが、策に溺れ過ぎないよう「原点回帰」を忘れないでくださいね。
まとめ_調査書なんて気にするな!
今日は高校生の進路に大きな影響を及ぼす「調査書」について、書ける範囲でその内容をお伝えしました。
最後になってこんなこと言うと本末転倒かもしれませんが、
今日のまとめを一言で言うと、
調査書なんて気にせず、思い切り高校生活を送るのが一番ですよ
と言いたいですね。
ではなぜそう思うかというと、
私が過去に生徒会を担当した時、
生徒会長に立候補した子が、
「生徒会長になると進路に有利なんですよね?」
とこっそり聞いてきたんですね。
私は、
「う~~ん、有利になるかもしれないね」
と曖昧な返事をし、
「中身が伴わなきゃ意味ないよ」
と釘も刺しましたが、
心の中では、
「このやろー(~_~メ)」
とも思ったんですね。
正直、こんな考えで生徒会長なんて務まらない、とまで思いました。
会長に信任された後すぐに、
安直な考えで立候補した自分に気付きます。
周りの執行部員の方が、はるかにしっかりしていたからです。
「どうするかな~?」
と思って見てたんですが、
そのうち、
「負けてられない」
と思ったのか?
徐々に会長らしくなっていったんですね。
副会長とともに会議を仕切るようになり、
放課後も一番早く生徒会室に顔を出すようになりました。
こうなったら後は任せて大丈夫です。
動機こそ不純な生徒会長でしたが、
立候補~就任を機に大きく成長し、印象に残る生徒になりました。
彼が得たものは生徒会長の”肩書”ですが、それ以上に、安直な考えを乗り越え成長できたことが財産となったはずです。
つまり、
高校生活で最も大切なのは、
あなた自身がどれだけ成長できたか?
の一点です。
自分の評価は「自分で」するのが一番です。
調査書はあくまでも”他人”の評価だと割り切りましょう。
だから調査書があるから部活する、とか、生徒会入る、のはナンセンスだし、
先に書いたように、調査書なんて気にせず全力で高校生活を過ごしてほしいと思います。
その姿勢があなたの進路決定に最も有効な手段なのです。
高校生のみなさん、
これからもがんばってください。
結果は後から必ず付いてくるものです。
それが調査書であり、進路実現ではないか?
と私は考えます。
ではでは、、、また次回、、、
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