【学校斡旋就職】高卒で就職する人向け_内定までの流れと注意点を解説

進路
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今日は高校生の進路選択の一つ、
「就職」の話をします。

少子化の現代は、選ばなければ進学には困らないため、高卒で就職する人は少なくなりました。
現状、高卒よりも短大卒、大卒者の方が生涯賃金が高いので、資格取得やスキルアップのために上位校への進学が増えているからです。
もちろん進学には学費がかかりますが、ローンや奨学金を利用してでも「将来への投資」と割り切ってこれを捻出する家庭も多いはずです。

しかし今も一定数高卒での就職を希望する生徒はいます。
「早く社会に出たい」
「親に苦労をかけたくない」
「家族の意向」

…など理由は様々です。

今日の記事は、高卒で就職を希望する人と、その保護者向けに記事を執筆します。

そしてあまり知られていませんが、
高卒の就職は、それ以外と比べてかなり特殊な流れとなっています。

今日のキーワードは、

「学校斡旋就職」
「一人一社制」

の2点です。

以下に高卒者向け就職の流れを解説します。
まずはその仕組みと流れをしっかりと理解し、早めの「対策」を始めることをお勧めします。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

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高校生の就職(学校斡旋の場合)の流れ

高校生の就職、1つ目のキーワードは「学校斡旋就職」
学校斡旋以外にも、自己開拓や縁故という方法もありますが、就職後のトラブルを防止する、という観点から、多くは学校斡旋の形で就職を決める場合が一般的です。

学校斡旋就職とは、高校がハローワークの業務を代行し、生徒に就職先を斡旋したり内定に向けた指導を行うことです。
高校生の就職は、希望者が不採用となるのをなるべく避けるためや、就業後のトラブル防止の観点から、学校が仲介するとともに、いくつかの特例もあります。

これを就職の流れとともに、以下で説明しましょう。
詳しい解説は、表の下に追記しますね。

時期内容解説
~6月企業:求人票作成次年度採用者の求人票を作成し、ハローワークの承認を得る
7月~企業:求人票送付
学校:求人票公開
生徒:就職相談
生徒:企業訪問
企業の採用担当者が、学校に求人票を持参(または郵送)する
学校は求人票を公開し、就職志望者への指導を行う
生徒は担任や進路課と面談を重ね、候補を絞る
生徒は候補企業の見学に行く(先生の引率で)
8月生徒:就職申込
学校:校内選考
生徒:書類準備
生徒は候補を1社に絞り、学校に就職申込を行う
生徒の就職申込を基に校内選考を行う
校内選考をパスした生徒は応募書類を作成する
9月5日~
9月16日
生徒:書類発送

選考解禁日
教員が企業宛郵送または持参する

この日から就職選考が解禁される(詳しくは下記)
選考から
7日以内
企業:選考結果通知選考結果は郵送または学校訪問により通知される
~指定日生徒:確約書提出内定が出たら、企業の指定する日までに確約書とお礼状を提出する
卒業式後生徒:研修参加企業によっては卒業式後に研修を行うとところもある
4月1日
前後
入社式入社式で辞令が交付され、試用期間に入る
多少の前後があることはご理解ください

求人票作成(企業)

高卒の求人を必要とする企業は、求人票を作成して、これをハローワークに提出して承認を得ます。
労働時間や内容、休日等の条件が法律に違反していないか?を確認されて、承認されたものが高校に送られるのです。

また企業には、
「どの高校に求人を出すか?」
を決める権利があります。

求人数×3校以内と決められている地域もあるくらいです。
これは応募者が殺到して煩雑になるのを防ぐためでもあるし、
高卒の就職は一人が一度に一社しか受けられないので、
あまり多くの不採用を出さないための配慮でもあります。

だから就職したい企業があっても、求人が来なければ応募すらできない、のが現実です。
就職希望者の多い高校が、校則で身だしなみの指導に厳しいのは、そんな背景もあるのです。

ただ、どうしても就職したい企業があって自校に求人が来ていない時は、進路課の先生に相談してみてください。
学校から企業にお願いをし「そういう生徒がいるのなら…」と求人を出してくれる企業もあります。
過去にそんな流れで内定を勝ち取った生徒もいるので、諦める前にダメ元で頼んでみてはいかがでしょう。

求人票開示

求人票は、7月ごろから郵送とか企業の人事担当者が訪問するか郵送で高校に届きます。
届いたものから、生徒に公開されます。
就職希望者は、求人票を見て、希望の職種や企業を絞り込んでいきます。

高校生の求人票の見方については、とてもややこしいので、以下のリンクも参照してください。

高卒求人票の見方|就職対策|高校生のための就職マップ
高卒求人票の見方を解説。高卒就職の対策なら高校生のための就職情報サイト「就職マップ」。高校卒業後に「働く」ことを考えている高校生に「仕事研究・企業研究」をしていただくためのサイトです。

また同サイトから引用してここに求人票の見本を載せておきます。
画像上の数字1⃣2⃣3⃣…の内容も同サイトに詳しく書かれています。

高校生のための就職マップ「高卒求人票の見方」より引用
高校生のための就職マップ「高卒求人票の見方」より引用

特に気をつけてほしいのは、
給料の額だけで企業を決めてはいけないことです。

業種や仕事内容はもちろん、
福利厚生や休日、通勤距離や方法、企業の離職率は必ず見てくださいね。
離職率の高い企業は、仕事がきつい、または人間関係等に問題ある企業である可能性もあります。
いくら給料が良くても、そんなブラック企業では働きたくありませんよね。
もちろん「うちはブラックです」なんて求人票には絶対に書いてありませんからね。
注意してください。

企業見学

候補が決まったら、先生の引率で企業見学に行きます。
企業見学は、基本夏休みに行きます。
進学する前に行くオープンキャンパスと同じなんですが、
企業側にすれば、来年から自分の会社で働いてもらうかもしれない人、
が来るわけですから、見学時から生徒の様子をよ~~く見ています。

身だしなみや言葉遣い(特に敬語)、説明を聞く態度や、質問の内容などを見られていますからね(^^;
当然ですが、遅刻は厳禁!
もちろん手ぶらもダメですよ。
必ずメモを取りながら見学してくださいね。

就職申込み

受けたい企業が決まったら、
高校に「就職申込書」を提出します。
その企業を志望する理由や、保護者の承諾が必要です。
志望理由にはくれぐれも、
「給料がいい」「休日が多い」「家から近い」など
自分の都合ばかりを書かないように!
自分の適性が、どう活かされる職場なのか?
という視点で志望理由を書いてください。

なお、高校生の学校斡旋就職は、
原則一人一社しか申し込めないので、
特に注意してください。
(自治体によっては2社以上の応募を可能とするところもあります)

だから就職申込みは、校内選考に落ちた場合も考えて、第3希望くらいまで考えておくのが賢明です。

校内選考

求人票には学校から応募できる人数が決まっているので、
それ以上の選考申し込みがあれば、校内選考が行われます。

選考は、志望理由より学業成績(評定平均)の方が重要視されます。

また評定と同じウエイトで見られるのが遅刻や欠席数です。

成績(評定)が低い=仕事ができない
遅刻欠席が多い=時間(約束)を守れない

と思われ、就職では本当に不利になりますよ!

履歴書を書く

校内選考が通ったら、
先生は「調査書」と「紹介状」を作成し、
生徒は「履歴書」を書いて、企業に送付します。

履歴書は市販のJIS規格のものは使わず、
必ず全国高等学校統一様式のものを使いましょう。

校生のための就職マップ「履歴書の正しい書き方」より引用

履歴書は、必ず

自筆で丁寧に(書体は楷書)
黒インクのペン書き
誤字脱字は厳禁
(見つけたら新しい用紙に書き直す)
文節の途中で改行しない
(助詞を行頭に書かない)
写真の裏面には学校名と氏名を書いてから糊付けする

私が担任した生徒の中には、一人で10枚以上書き直した生徒もいましたね(;’∀’)

選考

選考は企業によってまちまちです。
一般的には9月16日が選考の解禁日となっていて、この日に入社試験を行う企業が多いです。
ここでは一般的によく行われる選考法を紹介します。

適性検査(SPI)

適性検査は、社会人として必要な基本的な言語力や計算力等の「知的能力」を有しているか?を測る試験です。
不採用となった場合、「非言語能力の分野が弱かった」などと理由を付けて結果が返ってきます。また採用となった場合の配属先決定などにも利用されます。

SPIはこの知的能力に「性格検査」を組み合わせたものです。
性格検査は自分をよく見せようとしてウソをついてはいけません。
ウソをつくとどこかに「矛盾」が出てくるので、すぐにばれちゃいます(;’∀’)
問いには素直に答え、自分がどういう人間なのか、ということを企業に知ってもらう、という目的もあるので、正直に答えましょうね。
採用後の部署(配置)にも関わることがあるからです。

面接

就職選考で外せないのが面接です。
進学のように、学力だけで選考されることは絶対にありません。

面接はあなたの人となりを見て、
わが社にふさわしい人物か?
この人と一緒に仕事ができるか?

などを見極める場です。
緊張して上手く言えないかもしれませんが、面接には対策が不可欠です。
何度も練習を重ねて本番に臨んでくださいね。

私も現職時には生徒の面接練習に付き合いましたし、
勤務校の入試でも何度も面接官を務めました。
面接では本当にその人の姿勢や考え方がよく見えますね。
特に意外な質問をぶつけたときに、その人の素性がよく表れるものです。

しかし、高校生の就職面接では、人権上の観点から、

個人の思想信条に関する質問や、
本人の責任にない質問をしてはいけない、
というルールがあります。

例えば「尊敬する人は?(思想信条)」とか「家族構成は?(本人の責任にないこと)」という質問は
NGなんですね。
こんなことを聞かれたら、
「申し訳ありませんが、その質問にはお答えできません」
と返しても大丈夫です。

ここでは、就職選考でよく聞かれる質問をいくつかご紹介します。
対策の参考にしていただけると幸いです。

  • 志望理由(必須質問)
  • 高校生活で印象的だった(がんばった)ことは?
  • そこから何を学んだか?
  • 企業見学の印象は?
  • 入社後の意気込みや希望部署
  • 他社と比べたか?
  • うちに落ちたらどうする?
  • 履歴書や紹介状の記載内容から質問
  • 何か質問は?(必須質問)

…などですかね、、、

特に最後「何か質問はありませんか?」
という問いに
「特にありません」
と答えるのは印象よろしくありません(-_-;)

私が面接練習で生徒に仕込んでいた質問は、
「面接官の方は入社何年目ですか?」
「〇年ですが…」
「〇年勤められて感じられる御社の魅力を教えてほしいです」

なんてのはどうでしょうか(笑)

内定

選考後、3~7日程度で学校あてに結果が届きます。
内定の場合は、入社確約書を提出します。
当然ですが、確約書とともに自筆のお礼状を添えて送りましょう。

残念ながら不採用だった場合は、選考がこれからの他企業を受けることになり、
また企業見学から始めます。
求人は夏に限らず、その必要が生じた秋以降にも来ることがあるので、
上手くいけば、思わぬ掘り出し物もあったりするのです。

人生は何がどう左右するかわかりません。
なかなか内定が出ないと、気も滅入ってしまいますが、
まっすぐ生きていれば、必ず救われるのが人生だと思います。
私が担任をした生徒は3度選考に落ち、4度目で希望職種に就職が決まりました。
決して諦めてはいけませんよ。

内定後の生活

学校生活

内定後は気が緩んで「あとは卒業さえできればいいや」と、緊張感が欠けちゃう生徒もいます。

しかし就職が内定した、ということは、あなたの学校生活は残り数ヶ月で終わり、ということ。
一般的に考えれば、もう二度と学生には戻れない立場になったということですから、残り少ない高校生活を全力で楽しんでほしいですね。

毎日の授業はもちろん、友だちと食べるお弁当や、行事も残りわずか。
後悔のない毎日が過ごせるよう一日一日を大切にしてください。

また企業から研修等で連絡が入ることもあります。
受かればこっちのもんだ、とばかりタメ口にならないよう、社会人として相応しい態度や言葉遣いが求められていることもお忘れなく、、、

免許取得

企業にもよりますが、仕事で車を使う場合には、入社までに免許を取得しておいた方がいいです。
教習所への入所や、卒業までに取得した場合の扱いは、高校の決まりに従うこと。

さらに免許取得には30万円ほどの教習費が必要です。
教習費の捻出も保護者と相談しておくこと。

また18歳にならなければ普通免許は取得できません。
3月生まれの人は、研修等とバッティングしないよう会社と相談しておく必要もありますね。

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まとめ_社会は厳しい?

今日は高卒で就職を考えている人向けに記事を書きました。

高卒で就職する人は、昔に比べ少なくなりましたが、
実際のみなさんの気持ちはどうなんでしょう?

本当は進学したいのに、いろいろな事情で就職を決めたか?
それとももう勉強はしたくないから、仕事をして早く稼ぎたいと思ったのか?
あるいは家業を継ぐ決意をして社会人を選んだのか?

いずれにしても、同級生より少しだけ早く社会人として揉まれるあなたの前途を応援したい気持ちです。

よく「社会は厳しい」という言い方をされますが、
これは「お金を稼ぐ」責任とともに、自分の親以上に年の離れた異世代の方々とも歩調を合わせるチームワークを求められるからです。
その環境は確かに厳しい一面もありますが、それ以上に多くの人との出会いが、あなたの人生によい影響を与えてくれるはずだと思います。

また就職当初は、慣れない生活につらい思いもするでしょうが、若く将来性豊かなあなただからこそ、叱られる場面もあるはずです。
これを「厳しさ」の一語で済ますのは簡単ですが、実は人は「叱られているうちが花」でもあります。
大人になって仕事もできず、期待もされない人は叱られることすらないんですね、、、

私も学生期間より社会人期間の方が圧倒的に長くなりました。
今でも「学生は羨ましいな」と思うことはたくさんあります。

しかしその一方で「社会人でよかった」と思うこともたくさんあります。
学生はその成果が「点数」や「結果」など目に見える形で出ることが多く、わかりやすかったのに対し、社会では「目に見えない成果」が多くなったな、と思います。
長く教員を勤めた自分が生徒にどう影響を与えたかを測ることはできませんが、それでも一生懸命に授業や部活動に取り組んでくれる生徒の姿が、何よりの影響力であり成果だと感じる毎日だったからです。

これは給料をいくらもらってるか?で変わるものではありません。

仕事は「生きていくため」に必要ですが、単に給料をもらって生活の糧とするだけのものではなく、+αの付加価値を見出してこそ「やりがい」があります。
高卒で就職するみなさんは、同級生より一足早く社会人となり、その途中で進路変更(転勤や転職など)をすることがあるかもしれませんが、学生生活より圧倒的に長い社会人生活で、そんな「やりがい」を見つけ有意義に生きていければ、それは大きな幸せだと思います。

また仕事は「やっていくうちに」その厳しさやおもしろさがわかってくることもあります。
私なんかは「教師に向いてないな」と思い続けましたが、仕事の楽しさだけは途中からわかるようになってきました。
だから今は「天職」だったと思えるのです。

みなさんもぜひそんな「天職」に出会えることをお祈りしております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは、、、また次回、、、

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