いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今日は「ハングリー精神」がみなさんのモチベーションに直結する、というお話をします。
このブログは、元高校教員の貫雪が、教員時代に経験したことや、いつも生徒に語っていたこと等を発信していますが、今日の話題も在職時生徒によく語っていた内容です。
今の時代を生きる特性を知り、人の普遍的な欲求をどう満たすか?について考察します。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。
煩悩
五欲
仏教では「人は108の煩悩を持つ」と説きます。
煩悩とは字のごとく「煩わせ」「悩ませる」もの、つまり「欲望」の意味で、
特にその中でも根源的な5つを「五欲」と言います。
五欲とは、
- 食欲(食べたい、より美味しいものを食べたい)
- 財欲(お金が欲しい、いくらでも欲しい)
- 色欲(好きな人に愛されたい、性欲を満たしたい)
- 名誉欲(認められたい、褒められたい)
- 睡眠欲(眠りたい、少しでも楽をしたい)
の五つ。
どれもわかるような気がしますね。
欲望のマイナス面
仏教では、欲望のマイナス面を、次の3つと説きます。
自己中心的
自己の欲望を満たすことばかりを考えると、人は自分の利益ばかりを追い求めてしまいます。
「徳」よりも「得」を優先しちゃうんですね。
満足しない
私の大好きなラーメンも、毎日食べてたら飽きてきて、違うものが欲しくなります。
ひとつに飽きたら、また違うものが欲しくなります。いつまでたっても満足できないのです。
欲望は失くせない
人は、欲望を絶つことができません。「足るを知る(今の立場で満足している)」という生き方もありますが、環境が変わればまた欲しくなるのが人の常です。
マズローの欲求段階説
- 生理的欲求(寝たい、食べたい)
- 安全の欲求(安心、安全)
- 所属と愛の欲求(仲間が欲しい、愛情が欲しい)
- 承認欲求(他者から認められたい)
- 自己実現欲求(自己の可能性を実現したい)
これは過去記事でも何度か出てきた説で、人の欲求を低次~高次なものまで5段階に階層化したものです。低次の欲求が満たされないと、より高次の欲求を欲しない、という特性もあります。
詳しくは私の過去記事もご覧ください。
仏教でいうところの「五欲」と、マズローの説の違いは、
五欲が「根源的で失くすことができない欲」を指すのに対し、
マズローの説は、これを階層的に説いたもので、より高次の欲求を満たすことが「よりよい生き方」としている点に違いがあります。
この2つを比較してわかることは、
人の最も根源的でかつ高次な欲求は「名誉欲(承認欲求)」だということがわかりますね。
この名誉欲(承認欲)を満たすために、我々はいろいろな努力をしているし、これが満たされない時は落ち込んだり嫉妬したり…を繰り返しているのです。
物欲は満たされてはいるけれど…
私は東海道新幹線が開通した年に生まれました。
物心ついた時に見ていたテレビは白黒テレビでした。
小学校は木造の校舎で、冬になると石炭ストーブが教室の真ん中に置かれました。
それから半世紀が過ぎ、世の中は格段に進化しました。
少なくとも衣類や食品など生活必需品に困窮することはほとんどありませんし、とにかく安くて便利なものが溢れる社会になりました。
生活の質は確実に豊かになり、過去の常識がどんどん非常識になる社会に追従するのが大変です(;’∀’)
人の力って改めて「すごい!」と感じます。
さらに特にITの発達が、日常を大きく変えましたね。
スマホやパソコンは、痒い所に手が届く魔法の技術。
私もその恩恵を受けて、このブログを発信できています。
便利さで得られたもの・得られないもの
私の学生時代は、ヤンキーが山ほどいました(;´∀`)
教員になってしばらくも、学校によっては問題行動が山積でした。
謹慎生徒の家庭訪問が連日あって、授業を自習にして問題行動の聞き取りに走ることもありました(-_-;)
家庭訪問に行って感じる多くは、
「この子は満たされていない」
という実感です。
収入が低くて困窮していたり、片親で寂しい思いをしていたり、勉強がわからず苦痛を感じていたり…と、満たされないコンプレックスが大きいんですね。
改造バイクでブンブンやってる兄ちゃんたちも、それが「ガス抜き」になっているんです。
しかし近年、こういった光景はほとんど見なくなりました。
社会が大きく変わったのが、その大きな原因です。
- 人権が尊重される時代になった
- スマホ一つで情報、物欲、人との繋がり、承認欲…等が満たせる時代になった
SNS、ゲーム、YouTube、ネットショッピング…
今は人権が尊重され、スマホ一つで「ガス抜き」のほとんどができる時代になりましたから、タバコやバイクでガス抜きをする必要性が無くなってしまったんですね。
そんなガス抜きは逆に”ダサい”という風潮もあります。
しかし、それでも得られないものがあります。
ハングリー精神
近年は「褒めて伸ばそう」という教育方針が主流になりました。
生徒のいいところを認めることで、自己肯定感を高める効果があります。
私はこれを大いに歓迎しますが、それでも満たされないものがあります。
それは「理想の自分」
SNSでいいねをいくらもらっても、いくら親や先生から褒められても、
現実の自分は、≠理想の自分なんですね。
理想の自分とは、自己承認欲を満たした姿
今日のテーマは、ここで沸き起こる「ハングリー精神」の効果です。
いくら自分が「すごい」「努力家だ」「才能がある」と褒められても、
理想の自分はそんな周りから「褒められた自分」ではありませんよね。
今や過去の自分が理想ではありません。
理想の自分は、もっと遠い将来にあるはずです。
自分で自分を褒められる自分を目指すこと
それは実現が恐ろしく難しいことかもしれません。
誰にも言えず、自分の中だけで理想化しているだけかもしれません。
しかし人が前を向く原動力は、
現状の自分では満たされないそんな気持ち=これが「ハングリー精神」です。
理想の自分は常に将来に置く
ハングリー精神は「人が前を向く原動力」です。
理想の自分に近づくためのガソリンみたいなものです。
みなさんはどんな大人になりたいですか?
私は高校時代、大人になったら「本を執筆する人になりたい」と思っていました。
自分の名が活字になって、たくさんの人に読んでもらえる印刷物を出せる、要は何らかの影響力がある大人になりたかったのです。
漠然とした理想でしたが、20代後半でその第一歩が実現しました。
生意気にも「原稿料」をもらうこともできました。
高校時代の私は、
本を執筆する大人になるには、執筆できるだけの「器」が必要だと感じました。
だから勉強をしました。
高校生にとってすぐには叶わない夢を持ち、これを欲しがる気持ち、
これがハングリー精神(前に進むためのガソリン)です。
夢を実現するために、今何をすべきか?
これが過去記事にも記した短期目標を設定する意味です。
短期目標の積み重ねが、いずれ大きな樹となるのです。
過去の自分が理想になったら、人はそれ以上伸びない
高校生のみなさんには「必要のない話」になるかもしれませんが、
人は年を重ねて初めて「若さの特権と価値」を知ります。
「人生戻れるなら”いつ”に戻りたい?」
と尋ねられたら、あなたは何と答えますか?
私は「大学生に戻りたい」と即答します。
おそらく高校生のみなさんは即答できない人が多いはずです。
たまに「小学校時代に戻りたい」という生徒がいました。
「なんで?」って聞くと、
「勉強が簡単だったから」とか「勉強をやり直せるから」って、、、
いやいや…そんな問題じゃない(;´∀`)
そんなこと、戻らなくてもできるから。
ほとんどの高校生がこの答えに窮するのは、
過去や現在以上に、将来への期待の方が大きいからです。
理想の自分が「過去」になってしまったら、人はそれ以上伸びません。
たとえ今の理想が「過去」であっても、これを「将来」の理想にできるよう、前を向いて進みましょう。
まとめ_若さの特権
私は、自分の将来に夢や理想がある「若い世代」を本当に羨ましく思います。
その夢や理想が、満たされない今の「ハングリー精神」=前を向くガソリンとなって、
自分を磨くための推進力に変えられますね。
若さは、(気力)、体力、記憶力、適応力、柔軟性…など、大人にはない武器をたくさん持っています。
若い人に足りないのは経験値だけです。
経験不足は年齢を重ねることでなんとかなります。
気力にカッコをつけたのは「前を向くガソリンの量」で変わるからです。
人は気持ちで動きます。
前を向く気力を振り絞るには、ハングリーな精神を失ってはいけません。
これを失わず、前に進もうとすれば、若い頃の努力はいつかきっと報われます。
どうか、満たされない気持ちをバネに、前に進んでいきましょう!
自分で自分の承認欲を満たすことができれば、
自分が生きる意味
も自然と見えてくるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は「学費」のお話を予定しています。次の記事も読んでいただけるとうれしいです。
ではでは、、、
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